夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「帯刀さんのおかげでいい物が沢山買えました。これでカレーが作れます」
「そう?なら良かった。買い物も案外悪いものじゃないから、これからも付き合ってあげる」

仲良く手を繋ぎ買い物が終わった帰り道、私達はお互い笑顔になっていて会話も弾む。
帯刀さんの目利きは食材にも有効でより新鮮なものが買え、さらにおまけも沢山してもらった。
多くの女性達の嫉妬の痛い視線が絶えず突き刺さったけれど、それはいつものことだから今ではそんなに気にならない。
気にしていたらきりがないからね。

「本当ですか?嬉しいな。やっぱり私帯刀さんとこうやっているのが、一番心が落ち着けて好きだな」
「私は夜が一番好きだけどね」
「・・・もう」

爽やかな夫婦の一時が一瞬で消え去りなぜかそう言う話を持ち出され、私は恥ずかしさのあまり頬を赤く染め小さくなった。

夜が一番好きって・・・。
まさか誘惑されてる?
今は昼間なのに?


「御家老、こんな所にいたんですね?いきなりいなくなったするから、大変なことになりかけているんです」
「なんだ西郷か。妻の一大事だったんだから、仕方がないでしょ?私にとって妻は何よりもの掛け替えのない人なんだからね」

そこへ血相を変えそれでもって怒ってる西郷さんがやってきて怒るけれども、帯刀さんは当然そうにさらりと受け答える。

それは嬉しいけれど、なんだか申し訳ない。
私は帯刀さんだけじゃなくって、薩摩藩のみんなに迷惑を掛けている。
・・・鬼門の変真っ只中だもんね。

「凪、また何か問題を起こしたのか?」
「・・・すみません」

私を呆れながらも厳しい視線を向ける西郷さんに、私は理由は言わず申し訳なく小声で謝った。
訳を話したらとんでもないことになって、余計にややっこしくなりそうだから。

「まぁ無事で何よりだ。御家老も凪が無事だと分かったのなら、さっさと戻ってきて下さい」
「夕凪を屋敷まで送り届けたらね」
「御家老!!凪、大人なんだから、一人でもちゃんと帰れるよな?」
「はい、そりゃぁもちろん」

いつもと違って気が立って普段より更に迫力が増している西郷さんに、私は思わず敬礼して素直に頷いてみせた。

ここで頷かなかったら冗談に抜きで、西郷さんに睨まれ恐ろしいことになりそうです。
帯刀さんといいさすが武士だけあって、誰しもが怒ると滅茶苦茶怖い。
・・・触らぬ神に祟りなし?

「本当に?寄り道したら、お仕置きだけじゃすまさないよ。一生外出禁止だからね」
「まっすぐ帰って奥さんらしく、旦那さんの帰りを待ってます」
「わかった。その言葉信じてあげる。シロ、シュウ、くれぐれも頼んだよ」
「ニャーン」
「・・・凪、本当に何をやらかしたんだ?」
「・・・アハハハ」

でもやっぱり一番怖いのは帯刀さんで私はますます良い子ちゃんになり、お怒り西郷さんさえも異様な殺気を漂わせている帯刀さんに恐れを感じ小声で私に問う。
しかし私はそれでも言えずに、苦笑してその場をやり過ごした。



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