夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「夕凪」


「ひぃぃ〜ごめんなさい。でもけして浮気なんてしていません。高杉は良い奴だけれど、ただそれだけです」

どこかの宿だか店につき離れの部屋に通され店の人が完全に遠ざかった途端、帯刀さんの最大の雷が落ち私は涙を浮かべ謝罪と潔白を主張する。

私は浮気なんてしていない。
あれは不可抗力。
確かにあんみつを食べていた時だけ見られたら浮気だって勘違いされるかも知れないけれど、あえて言うなら私は被害者で良く考えるとそんなに悪くない。

「今日と言う今日は、信じられないね。まったく私の気など知らずに、いつも君は好き勝手にやりたい放題」
「・・・あっ」
「今までは多めに見ていたけれど、もう我慢の限界。しばらくは外出は一切禁止。私が許可した相手しか面会もしたらいけない」
「・・・分かりました。それで帯刀さんが許してくれるなら・・・」

しかしお説教される中どんなに私が帯刀さんを傷つけてしまったのがよく分かり、厳し過ぎる処分も妥当なことだと思い私は頷き承知した。
外出禁止と言われてもショックを受けず、別のことにショックする。

私って本当に大馬鹿だ。
帯刀さんを助けるためにここへ戻って来たのに、どうして私は帯刀さんを傷つけてばかりいるんだろう?
帯刀さんのこと自分の命よりも大切で愛しているのに、未だにうまく愛しきれていない。
こんな仕打ちもし私が帯刀さんにされたら、私だって今の帯刀さんのようにううんそれ以上に怒って収集つかなくなると思う。
それなのに・・・。

「少しは自分がしでかしたことを自覚したみたいだね。ちゃんと反省してこれからの行いを改めてれば、すぐに外出禁止を解いてあげるから」
「・・・ごめんなさい。帯刀さん」

自分のしでかしたことを反省しまくる私を見て優しい言葉をくれる帯刀さんに、私は嬉しくて懐に飛びつき強く抱き着く。

外出禁止をすぐ解いてくれる約束よりも、こんな駄目な私を見捨てず許してくれる方が嬉しかった。
やっぱり帯刀さんは、寛大で何よりも優しい人。

「・・・シロから夕凪が高杉に連れて行かれたと聞いた時はいてもたってもいられなくって何もかも放り投げて来たのに、夕凪と来たら暢気に甘味屋で他の男とあんみつを良い笑顔でほおばってる」
「そう言うことだったんですね。心配掛けてすみませんでした」

そんな私を帯刀さんは力強く抱き返し今の心情を語ってくれ、私は以前思ったことを思い出し再び心に誓う。

今度こそ帯刀さんのが傷付くような愚かな行動はせずに、期待に答えられる良い奥さんになる努力をしよう。
そのためには当初の予定通り、今日は夕食をつくろう。

「屋敷まで送り届けるから、大人しくしていなさい」
「はい。でもその前に夕食の買い物をしたいんですが、付き合ってもらってもいいですか?」
「・・・仕方がないね」

可愛らしく甘えるように頼んでみると、渋々ながらも頷いてくれる帯刀さんだった。



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