夢幻なる絆
□6.四神を救え
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「本当に大丈夫か?なんだか変だぞ?」
「だ大丈夫です。私は小松夕凪といいますが、あなたの名前は?」
「俺は高杉晋作。悪いがしばらく付き合ってもらうぞ」
「え、ちょっと待って」
もう少しで変態になりかけ好奇心と言うこともあり自分の名を言ってから問えば、思いもしない名を答えられた同時になぜかお姫様抱っこをされ走り出す。
高杉晋作
かの有名な長州藩藩士
今はまだ薩摩藩とは敵対していて、さらに真っ只中と来ている。
いくらゲームだからと言っても、今までのことからしてそれは変わらないと思う。
だから私が薩摩藩関係者だって知られたら、最悪人質にされ殺されるかも知れない。
戦に行かなくても、大ピンチ。
素性がバレないように頑張ろう。
「美味しい。ここのあんみつ最高かも」
「本当に美味しいそうに食べるなお前」
どこに連れていかされるかと思いきや行き着いた先は、街外れにあるなんの変哲もない甘味屋さん。
そこで振り回したお詫びになんでも好きなものを頼んでいいと言われたから、私はあんみつを頼んですっかり高杉への警戒心をなくしニコニコ笑顔になっていた。
「美味しい食べ物は、美味しく食べないと勿体ないじない?そうだ。お土産に買っていこう」
「確かにそうだな。小松とか言ったな。気に入った」
「えあ、そりゃぁどうも」
特に気の利いたことなど言ってないのに高杉は笑い、どう言う訳だか私は気に入られてしまった。
それはきっと面白いからだと思うんだろうけれど・・・。
そう言えば帯刀さんも、面白いから傍に置いときたいとか言ってたよね?
アーネストだって私が面白いからからかわれて遊ばれている。
・・・私ってそんなに面白いんだろうか?
「所で小松はどこに住んでいる?送ってやる」
「え、いいよ。心配しなくて一人で帰れるから」
なんの脈略もなくそう言う話になり、私は何も躊躇もなくとっさに断った。
高杉に送ってもらったりなんかしたら、絶対にばれてしまう。
そしたら高杉は、薩摩藩士に殺される。
ゲームにはありえない展開だろうから、そんなことになったら一大事だ。
薩長同盟が成立するどころか、話すりゃなくなっちゃうよ。
「遠慮しなくてもいいんだ」
「遠慮じゃなくって、私これでも人妻なんだよね?それでもって旦那様って言うのが、すごく嫉妬深い人なの」
意外にしつこく言ってくる高杉に仕方がなく大げさに言って見る物の、それは大げさじゃなく紛れもない事実だった。
帯刀さんはとんでもなく嫉妬深い人だから、高杉が長州藩じゃなくてもただでは済まないだろう。
「そうなのか?なら余計悪いことしたな。大丈夫か?」
「うん、今から一人で帰れば、余裕で平気。・・・あれ、シロちゃんとシュウちゃんがいない???ってまさか」
「そのまさか。夕凪、こんな真っ昼間から浮気するなんて良い度胸だね。ほら、行くよ」
「い痛いです」
やっとのこと高杉が諦めてくれホッと安心したのも束の間で、今さらシロちゃんとシュウちゃん気づく。
そして感じるイヤな予感は的中してしまいどこからともなく殺気にたった帯刀さんが現れ、高杉を気にすることなく私の耳を摘み引っ張り強引に引きずられて店を出る。
完全に帯刀さんは怒っています。
「・・・あれは、小松帯刀?」