夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「夕凪、はいあーんして」
「・・・はい」

生野菜(生人参)を克服しよう四日目の朝食。
約束通り帯刀さんは食べさせてくれるのだけれど、今朝の生人参はベース状になっていて昨日よりさらに状況は悪化してたりする。
でもこれは梅さんが食べやすくわざわざしてくれたんだから、文句を言わず有り難く食べないといけない物。

「よく噛んで食べないと、もう一口食べさせるよ」
「!!」

味が嫌だから無理矢理飲み込もうとすれば、帯刀さんに厳しく言われてしまい慌てて噛む。
途端に口の中に広がる人参の味。
頑張って飲み込み任務終了。

今朝もやっぱりまずいです。

「はい、よく食べられました。これはご褒美」
「え?」

と帯刀さんは笑顔で言ってくれて、キスをくれる。
甘いキスに嫌な気分が一気に吹き飛び、幸せな気分に戻っていく。

『ごちそうさまでした』

そして二人仲良く手を合わせてごちそうさま。


「御家老、そろそろよろしいでしょうか?」
「そうだね。すぐ行くから、用意して待ってて」
「はい」

渡り廊下から先日の藩士の声が再び帯刀さんを呼びに来て、今朝は機嫌を損なわず返事をし帯刀さんは立ち上がる。

この前の教訓が生かされてるから?

「帯刀さん、夕食は私が作るので、早く帰って来て下さいね」
「それは楽しみだね。分かった早く帰ってくるよ」
「愛情込めて頑張って作ります。じゃぁ今日は龍馬に青龍の札を貰ってから、食材の調達してきます」

前回の約束を果たすことと何か口実を作り早く帰って来てもらいたかったから、そんな話を切り出し期待を持たせ早く帰ってくることを約束させる。

私も案外ズル賢いね?
これも帯刀さんの影響だったり?
でも帯刀さんは今忙しい時期なんだから、そんなわがまま言ったら駄目なのかも・・・。

「じゃぁいってくるよ」
「あ、はい。いってらっしゃい」

これと言っていい答えがでないまま帯刀さんを見送ることになり、今度は私からいつものいってらっしゃいのキスをする。

帯刀さんなら本当に忙しかったら、私なんて二の次になるってことにしとこう。
それは悲しいけれど、仕方がないか。
私だってそろそろ真面目になって、小松帯刀の妻として恥じぬようにしていかなきゃ。
だから先ずは初めは夕飯作り。

偶然にもカレールーを持っていたからね。
後は梅さんに教えてもらおう。





「ようやく小松帯刀は行ったか」
「これで夕方までは、私達の自由。凪、お供しますよ」

こっちも藩士同様学んだらしく、完全に帯刀さんがいなくなったのを見計らいやってきた。
帯刀さんに気を使ってる。

「ありがとう。なら片付けたら龍馬の所に行こう」
「分かった」
「龍馬と言う人の子からどうやって青龍を奪還するのですか?」

龍馬を知らないシュウちゃんは、どことなく不安そうに問う。

知らなかったら当然のことだろうけれど、・・・奪還・・・。
シュウちゃんをそうやったのだから、これもしょうがない?


「りょ龍馬は私の親友で心優しい人だから、ちゃんと話せば分かってくれるよ」
「フム、それに坂本龍馬は青龍を大切にしている。放置気味の小松帯刀と違ってな」
「私にはシロも十分幸せだと思いますよ。私なんてどれだけこき使われたことだが」
『・・・た確かに・・・』




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