夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「帯刀さんって甘えん坊だったんですね?」
「夫が妻に甘えるのは当然の権利だとおもうけど?」
「それもそうですね。だったらこれからはいつでも、私に甘えて下さいね。なんかこう言うのって、奥さんらしいじゃないですか?」

食事が終わり縁側で帯刀さんに膝枕してうちわで扇ぎ、仲良く星空を眺めながらののどかな会話。
私が思い描いていた夫婦像その物で、いつになくテーションが高くなり一人だけはしゃいでいる。
あんまりはしゃぎ過ぎるとまた帯刀さんに怒られそうだけれど、私ってあんまり他人に甘えられたことがないから新鮮で嬉しい。

「そう?ならこれからは毎晩頼むよ」
「はい、分かりました。あ、耳かきしましょうか?それも奥さんらしい」
「それは遠慮しとく。危なっかしい。代わりに私が夕凪の耳かきをしてあげる」
「うっっ・・・」

気をよくした私は調子にのってそう言った物のそれはあっけなく却下され、なぜかそう言うことになってしまった。
効かなくても大体の予想が付き悲しくなり涙するが、それは賢明な判断なのかも知れない。

もし万が一手が滑って失聴させたら、笑えないほど大変なことになる。
帯刀さんのような優秀な人材を、私が一瞬で駄目にしたくない。
でもだからと言ってどうして私が耳かきされる・・・まぁ嬉しいから大歓迎だけれど。

「じゃぁ早速、耳かきを持ってくるから待っていなさい」
「はい」

そう言って帯刀さんは起き上がり耳かきを求めて梅さんの元にいった途端、シロちゃんと猫ちゃんとシュウちゃんがやってくる。
そして猫ちゃんは私の膝の上にちょこんと座りうちわを見つめ愛らしく鳴き出すけれど、シロちゃんとシュウちゃんは何かに遠慮しているのか私から少し距離を取り座った。

「ニャーン。ニャーン」
「ん?猫ちゃんも扇いで欲しいの?」
「ニャーン」
「なら扇いであげるね。シロちゃんとシュウちゃんももっと近くにおいでよ」
「そそうだな」
「はい、では遠慮なく」

私が言うと二人とも嬉しそうにすぐ、私に寄り添う。

帯刀さんももっと三人と仲良くしてくれたらいいんだけれど、なんであんなに嫉妬深いんだろうね?
私ってそんなに優柔不断・・・・だから無理もないか。
でも私帯刀さんのこと愛していてるんだから、いくらなんでもそれはないって言い切れるのにな。
どうやったらそれを分かってくれるんだろう・・・



「シロ〜、シュウ〜。何をしてる?」
「・・・小松帯刀、お早いお帰りで」
「あなた達はどうして私達の夫婦の時間を邪魔するの?」
「邪魔などけしてするつもりはありません。ただ私達も凪との時間を・・・」
「あなた達には昼間十分すぎるほどあるでしょ?まったく油断も隙もない。夕凪、続きは部屋でやろう」
「え、あはい」

これで一体何回目だろうかと思うぐらいの同じ展開が目の前で繰り返され、ご機嫌斜めになった帯刀さんに腕を持たれほとんど強制的に部屋に連れて行かされてしまった。
その時シロちゃん達は、いつも通りシュンとしてるだけで何も言わない。
私も何も言えなかった。



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