夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「旦那様、あんまり奥様に厳しくしたら駄目ですよ」
「梅は少し夕凪に甘やかせすぎる。これは夕凪自身のためでもあるんだよ」

私達の会話を聞いていたのか梅さんが入ってくるなり微笑みながら私の味方になってくれるけれど、それでも帯刀さんは涼しげに交わし厳しくてごもっともなお言葉をズバリと言い切る。

まったくもってその通りです。
でもやっぱり、ちょっと厳しすぎる。

「あまり厳しくし続けると、そのうち愛想尽かされてしまいますよ。たまには旦那様も素直になって、奥様に思う存分甘えたやどうですか?奥様がいない間、淋しかった癖に」
「梅、余計なことは言わない。それに夕凪が私を嫌うことは、何があろうともありえない。でしょ?夕凪」
「この件に関しては絶対ないと言えますが、それ以外については絶対にないとは言い切れません」

私がベタ惚れでも偽らなきゃいけない時がひょっとしてあるかも知れないから、わざと涼しげにそう言って帯刀さんの反応を待ってみた。
これは私より帯刀さんに言えることかも知れない。
すると帯刀さんの瞳が急に脅えだし食事中にも関わらず、いきなり私をギュッと抱きしめる。
意外な反応だった。

帯刀さんなら酷い事言って嘘ですと私に言わさそうとするって思ったけれど、素直過ぎる反応・・・なのかな?
だとしたら梅さんの言葉が効いたとか?

「それでは私はお邪魔なので、さっさと失礼します。ここにぶどうを置いときますね」
「え、あありがとう?」

私とは逆にこうなることを予想してたらしく暖かい笑顔でそう言って、言葉通りぶどうを置いてさっさと部屋から出て行ってしまった。
なんだかんだ言って、梅さんには誰にも叶わないかも知れない。

「ならどうしたら絶対にないと言い切ってくれる?私は夕凪と絶対別れないと、言い切れる」
「・・・本当に?」
「・・・私が夕凪のいない間、どんな気持ちで待ち続けているか知ってるの?」
「淋しい?」
「淋しいだけじゃない。苦しいんだよ。夕凪もそうでしょ?」
「はい。でもそんなに苦しくて淋しかったら、・・・めかけ・・・もらってもいいですよ?それで帯刀さんがずーと心安らかで笑顔でいてくれるなら、私も嬉しいですしね」

本音を言ってくれる帯刀さんに、私もさっきから考えていたことをなるべく笑顔で言ってみる。
本当はすごくイヤ。

いつまでも束縛していたら、帯刀さんが駄目になるだろう。
今度は長く滞在できると言われていても、きっと今回も私の世界へ戻ると思う。
ううん、今回に限っては戻らないといけない。
帯刀さんが生きている未来を探すために。
だから・・・。

「夕凪は馬鹿だね。私は夕凪が良いの。夕凪の変わりなんてどこにもいないって、いつも言ってるでしょ?それとも夕凪には私の代わりになるような相手がいるわけ?」
「いるわけないじゃないですか?私みたいな女性を愛してくれるのは、帯刀さんだけなんですよ」
「ならもうそう言う事言わない。いいね?」

帯刀さんのためを思って言ったのにすべてが逆効果で真剣に訴えられ、だから私も素直になることにした。
それがきっと帯刀さんが私に求めてる答え。

「・・・はい。もう二度と言いません。それから私も本当は帯刀さんを絶対嫌いになりません」
「ありがとう、夕凪」

そうニッコリ笑顔で約束を交わすと、ようやく帯刀さんはいつも帯刀さんに戻ってくれキスもしてくれた。



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