夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「夕凪、これは一体何なの?」
「朱雀です。龍神の神子のおかげで穢れはほとんど浄化されていたので、今回は生死を彷徨うことがないそうです」
「そうです。ですからさっさと下ろして下さい」

私の部屋に来るなり朱雀をシロちゃんのように摘みうざったそうに問う帯刀さんに、私はしっかりハッキリ帯刀さんの目を見て答えちゃんと現状も告げ終わると朱雀はちょっと怒った口調で意見する。
すると帯刀さんは意外にも素直に、朱雀を下に下ろした。

「夕凪、新選組はこのこと知ってるの?」
「・・・いいえ、知りません。無断で借りてきましたから」
「なら帰す気はあるんだね?」
「う・・・まったくないです・・・」
「ねぇ夕凪。そう言うことを世間に一般的に、盗んできたって言うんだよ?わかってる?」
「・・・すみません。盗んできました」

これ以上もない正論を厳しく言われてしまい言い逃れできなくなった私は、泣く泣く謝罪し正直に盗んだこと認めざる終えなかった。
帯刀さんの言う通りこれはれっきとした盗みに違えない。

「小松帯刀、凪をそんなに責めるでない。朱雀は誰の物でもなく今ここにいるのは朱雀の意志でのこと」
「そうですよ。私は凪に力を貸すと決めました」
「責めてはないよ。ただ現実を受け止めてもらいたかっただけ。それと朱雀。ここにいる以上あなたは今日からシュウ。けして朱雀だと周囲にバラしてはいけません。しばらくは龍神の神子にもです。それからけしてシロ見たく我妻を誘惑するような愚かな真似はしないこと。したらいくら神とは言え、札を破り燃やして灰にしますから」
「・・・小松帯刀は本気だから、逆らわない方が身のためだ」
「・・・分かりました」

私でも分かる冗談ではなく本気で朱雀に忠告と言うか警告する帯刀さんの言葉に、シロちゃんは顔を青ざめ必死にそう助言をしたため朱雀も何も言わずそれに同意する形になった。
つまりこれから朱雀は、シュウちゃんと呼ばないといけないらしい。

羽が朱色だから、シュウ・・・。
毛並みが白いから、シロ・・・。
猫だから、猫・・・。

帯刀さんって、名付けるセンスの欠片がまったくない。

まさか自分の子供にも、そのセンスなさで名前をつけるんじゃぁ・・・。

「どうしたの夕凪?」
「帯刀さん、私達の子供が生まれた時は、私に名前をつけさせて下さい」
「安心しなさい。我が子にはこんな雑で品のない名前はつけたりしないから」
「自覚してて、つけてるんですね」
「そうだよ。私にはどうでも良い生命だからね」
「アハハ・・・帯刀さんらしい」

会話の流れにはまったく関係のないことにも関わらず帯刀さんは理解し真相を語り、あまりのらし過ぎる内容にもう笑って感心するしかない。
でも内心最悪自体は免れそうで良かったと、心の底から思いホッとした。
これで未来の子供は安泰だ。
シロちゃん達は言うまでもなくムッとするけれども、意見はせずに黙っている。


「それで夕凪私に大切な話があるんでしょ? 」
「え、そうでしたね。これから今まであった真実だけを話しますが、話したことによって私達の関係が終わるかも知れません。それだけ衝撃なことだから・・・」

話題は終わったからなのか話はいきなり真剣に核心に触れられて、私は言わないと何も始まらないと分かっているのに話すのが怖くなり脅えた。
きっと今の私の表情は青ざめ氷ついているだろう。

「約束する。私は何があっても夕凪の傍にいると」
「・・・約束ですよ」

何も知らないからこそそんな約束をして私を抱きしめてくれる帯刀さんに、私はついその約束を信じてしまい念を押してしまう。


そして私はすべてを話すことにした・・・。


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