夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「帯刀さん、おか・・・キャァ!!」

ドッテ


帯刀さんの姿が見えたので走って行けば、お決まりのようにど派手に転けての出迎えてしまった。

「お奥様、お怪我はないですか?」
「・・・夕凪、自業自得だよ?一体何度言ったら、廊下を走らなくなるの?」
「すみません。帯刀さんの顔を見たら我を忘れてつい。・・・だって嬉しかったから」

目をまん丸くし私を心配してくれる梅さんに、毎回のことに痺れを切らし掛け小言を言う帯刀さん。
私は自力で起き上がり、舌を出し訳を言い笑って誤魔化す。
それぐらいしか対策は思い浮かばないし、気をつけようとは思ってもそれは難しいことだから約束できない。

「夕凪はずるいよ。そんなこと言われたら、それ以上怒れないでしょ?怪我はない?」
「それは大丈夫です。お帰りなさい、帯刀さん」
「ただいま、夕凪。やっぱりこうやって妻が出迎えてくれると、どんなに疲れていても心から癒されるよ」

小言も一瞬だけですぐに優しい帯刀さんに戻り、私をギュッと抱きしめてくれ嬉しそうにそう言ってくれる。
私と帯刀さんは未だ同じ想いに、私は更に幸せを実感した。
私もこうやって抱きしめてくれるだけで、すべての苦しみや疲れが癒される。
帯刀さんの温もりは、掛け替えのないもの。


「夫婦の仲が良いのは大変宜しいことですが、それ以上はお部屋でやって下さい。私達の目のやり場が困ります」
「そそうだね。私は着替えて来るから、夕凪は戻っていなさい」
「はい、わかりました」

梅さんの厳しい指摘に私達は我に戻りお互い顔を真っ赤に染め、そう言い合い帯刀さんは自分の部屋に戻っていく。
私もここにはいずらくなり言われた通り戻ろうとすると、

「奥様、旦那様は奥様に出逢われてから、すごく変わられたのですよ。旦那様がこんなに一途で愛妻家になるとは、私達誰も思いいませんでしたから。奥様もそう思わられたのでは?」

何を思ったのか梅さんは帯刀さんの背中を見つめながら、微笑み私にそう語りかけて来た。
それはまるで我が子の成長を見守る母親見たい。
そう言えば梅さんって薩摩からずーと帯刀さんのお世話をしていたとか言っていたっけぇ?

「確かに最初の頃はよく若い綺麗な女性が日替わりのように来てたし、夜遊びも結構多かったよね?次来た時はなくなっていたけど・・・」
「ええ。旦那様にはいつでも多くの女性がいました。それなのに今では奥様がいない時でも、女性はいらっしゃらないどころか夜遊びも一切していません。毎晩奥様の部屋でお休みになられております。きっと旦那様にとっての女性は、奥様ただ一人なんでしょうね?」

思い当たる節を思い出しながら答える私に、梅さんは私の知らない帯刀さんを教えてくれる。
それはとっても嬉しいことだけれど、ちょっと罪悪感が残る物だった。
今の私は帯刀さんの傍には、ずーといられない。

私がいない時な帯刀さんは・・・苦しいんだよね?
妻は夫を癒すことが仕事なのに、たびたび私は放棄してる。
ううん。
放棄している方が多い。
未来の帯刀さんは二年も私を待ち続けてくれていて、苦しんでずっーと悩んでいた。
だからいつもの冷静な判断が出来なくて、帯刀さんはきっと殺された。
私なんかのせいで・・・。
だとしたらこれ以上束縛するんじゃなく、妾のことを認めてあげた方が良い?
それにもしかしてこれから真実を話すことによって、私達の夫婦の絆がもろく崩れるかも知れないね。




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