夢幻なる絆

□6.四神を救え
12ページ/48ページ



「奥様、お帰りませ」
「梅さん、ただいま」

日が傾きかけた頃ようやく帰路した私を、梅さんはいつもと変わらず出迎えてくれる。
なんだかこうしてくれると我が家に帰って来たなって実感が沸く。

ここは帯刀さんと私の家。
これからもっとたくさんの想い出を作って、今以上の夫婦の絆を築き深めていく大切な場所。

「奥様、どうかしましたか?」
「うん、ようやく私のいたい場所に帰ってこれたんだなって思ったの」
「奥様、本当にお帰りないませ。私も奥様のお帰りを心待ちにしてたんですよ」

辺りを見回している私を不審に思ったのか不思議そうに問われたから、私は笑顔で正直に答えると梅さんもそう言って微笑み返してくれた。

今の梅さんも未来の梅さんも、当たり前だけれど同じなんだ。
私のことを思ってくれている。

「梅さん、これからもよろしくね。じゃぁ私自分の部屋に戻るから、帯刀さんが帰ってきたら教えてね」
「はい、かしこまりました。私の方こそ宜しくお願い致します」

本当はもっと梅さんと話したかったけれど、朱雀のことがあるから話を切り上げ自分の部屋に急ぐ。

なんだかんだと言って結局八木邸を思う存分堪能してしまい、もっと早く帰るつもりがこんな時間になってしまった。
総司くんは感情が乏しい子ではあったけれど、それでも可愛い子には変わりない。
近藤さんは面白い人だった。



「シロちゃん、遅くなってごめん」
「気にするでない。朱雀に事情はすべて話し、協力をようやく得た所だ。白龍の神子にほぼ呪詛を浄化しておるから、今の凪ならば倒れることはないだろう」

乱暴に障子を開けシロちゃんを確認する前に潔く謝れば、シロちゃんはちっとも怒らずそう言って私に朱雀の札を差し出す。
確かに朱雀の札には以前感じた気が大分なくなっていて、嬉しいような悲しいような。

龍神の神子にも私と同じ能力があるんだ。
・・・だったら私がいなくても良いのかな?

「そのようなことは絶対にない。確かに凪と白龍の神子は同じだが、凪の能力は二度と同じ呪詛には掛からない。だから未来の我はそなたの元に戻って来られた。少なくても我それから小松帯刀は、そなたを必要としている。変わりなど誰もいない」
「・・・シロちゃん。なら行くね」

ここに来てからどうもちょっとのことで後ろ向きの考えて不安になってしまい、誰かに優しい言葉を掛けて貰い背中を押してもらわないと勇気が持てない。

元に戻ったとはいえあの出来事で受けた傷は自分で思っているよりか深く、そう簡単には消えない物かも知れないね。
所謂情緒不安定?

そして朱雀の札に触れるとシロちゃんの時のように少しの邪気は私の中へと吸い込まれ、今度は白い光を輝きだし煙となりそこから朱色の綺麗な羽を持った愛らしい鳥が現れる。

私の愛らししい姿にしてしまう変な能力も健在・・・。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ