夢幻なる絆

□6.四神を救え
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「先ほどはとんだ失礼を申しました。なにとぞお許し下さい」
「フン、知らない。このことは帯刀さんに包み隠さず話してやるんだからね」
「そんなこと言うなよな。せっかくの可愛い顔なのに、そんなふぐみたい顔してたら台無しだろう?」
「何よ。さっきは普通だって言った癖に、今さらそんなこと言われても効果はまったくなし。それどころか余計腹が立つ」

時間が経つにつれますます腹が立っていき大広間に通された頃には完全にヘソを曲げ、家老の妻丸つぶれですっかり全面的に地を出し言いたい放題言って二人を困らせていた。
いい大人が情けない。
だけど私が本当に帯刀さんの正妻だと知ったら、急に腰を低くして態度を変えた。
そう言うのが、一番ムカツクのだ。

「近藤さん、土方さん。お茶とお茶菓子を持って参りました」
「おお、総司ありがとう。凪さんにお出ししてあげて」
「はい。分かりました」

そこへ一人の癒し系茶髪の美少年が入ってきて近藤さんにまず声を掛け、近藤さんの指示で私の前にお茶と八つ橋を出してくれる。

この子が沖田総司・・・。
やっぱりあの時の少年は、沖田総司だったんだ。
可愛い。

「ありがとう。総司くん」
「いいえ。どうぞごゆっくり」

総司くんを見ているだけで私の心は癒され、自然に顔がほころんで怒りがさっと消える。
それに加えて出された八つ橋を食べると何とも言えない美味しい物で、私の機嫌はますます良くなりどうでも良くなってしまった。

「・・・単純な奴・・・」
「・・・トシは、もう行って良い。総司は私と一緒に凪さんを案内してくれないか?」
「近藤さん、すまない」
「はい、分かりました」

小声でまた私に対し減らず口を叩く懲りない土方さんに、冷や汗どっと流した近藤さんは賢明な判断を下す。
すぐに苦笑した土方さんは席を立ち、総司くんが代わりに案内してくれることになった。

どうやら私は土方さんにとことん嫌われた・・・私も土方さんは嫌いというか苦手だから別にどう思われても構わない。
そうだよ土方さんさえいなければ、私はこんな嫌な思いはしなかった。
近藤さんは、そんなに悪くない。
すべての現況は土方さんにある。

−凪
−シロちゃん、どうしたの?
−朱雀の札は無事に回収した。 我は先に屋敷に戻っておる
−うん、分かった。ありがとう

突然のシロちゃんのテレパシーの良い知らせが入り、私はなんのトラブルもなかったことにホッと一安心する。
あまりにもすんなりいって物足りなさが残る物の、何かあったらそれこそ大変なのでそれは考えないことにしよう。

「凪さん?」
「なんでもありません。それでは案内をお願いします」

もうほとんどここに用はなくなったので私もさっさと話を進め始めた。

八木邸には興味があるけれど、今は朱雀の方が先決だ。



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