夢幻なる絆
□イベント短編
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凪、ハロウィン遊ばれる
「夕凪、これを来なさい。私が選んだ仮装だよ」
「わぁ〜ありがとうございます」
今年も我が家で開かれることになったハロウィンパーティー。
私の仮装着は帯刀さんが用意してくれると言うことだったので私は四神達の仮装をさせていると、大きな袋を持った帯刀さんがやって来てそう指示され手渡される。
早速開けて確かめて見ると袋の中には、猫耳カチューシャと白いワンピースご丁寧にしっぽまで付いている。
いかにも猫好きの帯刀さんらしい。
なのにどう言う訳だがもの凄く嫌な予感がしだすのは、どうしてなのだろうか?
「凪の猫、可愛い。特にその動く耳としっぽ」
「あありがとうマリアちゃん」
愛らしい天使姿のマリアちゃんに微妙で嬉しくない誉め言葉に、私は笑顔をひきつらせてお礼を良いため息をつく。
マリアちゃんのことだから本心で気に入ってくれてると思うんだけれど、龍馬達は私の姿になんて言って良いのか分からずしかも引いている。
まさか耳と尻尾が動くなんて夢にも思わなかったし、何よりも首輪とか言って付けられた大きな鈴が嫌だった。
歩くだびに鳴る。
「どうやらうまく作動してるようですね」
「さすが渓だね」
マリアちゃん以外に研究員姿の渓も何事もないように私達の元へやって来るのだが、帯刀さんと意味深な会話を始め科学者の顔に変わっていく。
それは明らかにこれを作ったのは、渓だと言っているような物だった。
しかも渓の場合仮装ではない。
すべての元凶は、渓か。
「渓、あんたなんつう物を作ってくれたの?」
「怒りも順調に作動と」
「え?」
渓に怒りをぶちまけるのも束の間、なにやらデーターを取る姿が不思議になってしまった。
確かに今までふさいでいた耳と尻尾は立ち上がり、今は普通に動いている。
まるで私の心を読み取ってるみたい。
「これは装着している人の感情を読み取る試作品です。喜怒哀楽の激しい凪さんには適任だと思い、帯刀さんから相談を受けたこともあり作ってみました」
予想通りとは言えすごいことを、さらりとどうってことないように渓は言う。
感情をこんな繊細にように読み取る発明品なら、ノーベル賞物じゃない?
「それはすごいですね。凪さん、はいクッキー」
「・・・・・」
これには興味津々のアーネストは、面白そうにクッキーを取り出しくれた。
魂胆が丸見えなのが気にくわなくってそっけない反応をしても、尻尾は馬鹿正直に激しく横に揺れる。
「すげぇ〜、喜んでるな。だったらこれはどうだ?」
そんな姿を龍馬も楽しそうに眺め、みたらしだんごを差し出す。
「龍馬まで。そんなのいらないよ」
でも尻尾は更に激しく触れた。
こんな侮辱されてもお菓子をもらうと嬉しいなんて思ってしまう私が情けない。
「喜びも問題なし」
「二人とも私の可愛い猫で遊ばない。遊んで良いのは飼い主の私だけだよ」
「御家老何危ない発言してるんですか?凪がかわいそうです」
「そうですよ。私は帯刀さんのペットじゃないです」
最早渓は自分の世界に入り使い物にはならなくて、西郷さんだけが常識人。
私も西郷さんと一緒になって、その扱いに激しく口論する。
「今は私の飼い猫でしょ?優しく可愛がってあげるから、夕凪も私のために尽くしなさい」
「!!」
なのに帯刀さんはケロッとして、私の顎を持ち耳元で甘く囁く。
それは絶対誘っている台詞で、私の顔は真っ赤に染まり言葉をなくす。
耳と尻尾は一瞬怒りのようにピンと立ったけれど、すぐにへたとしてゆっくりと動く。
「なるほど、これがデレの反応か」
「ねぇお兄ちゃん。パーティーはまだ?」
「え、もう始まってるよ。試しにアーネストに言ってみな」
「うん、アーネスト、トリック・オア・トリート」
「はい、これはマリアさん用のお菓子です」
マリアちゃんにはつまらないと言うか興味がないらしく本来の目的を思い出さしてくれて、しかもいつの間にか始まってることを知った。
早速渓に言われた通りマリアちゃんはアーネストに両手を出し合い言葉を言うと、アーネストは私の時とは違い素の笑みを浮かべお菓子袋を渡す。
アーネストも素で笑えば王子様なんだけれど、そんなの私には見せてくれない。
「ありがとう。アーネスト。龍馬、トリック・オア・トリート」
「おう、あいよ。なら俺もトリック・オア・トリート」
「ありがとう。私からはこれ」
今度は龍馬に言ってもらうと、龍馬も言ってマリアちゃんにもらう。
楽しそうだった。
「帯刀さん、トリック・オア・トリート」
「ないよ」
「は?だったら悪戯しちゃいますよ」
「私はそれでお願いするよ。好きなだけ悪戯をしても構わないよ」
「・・・・・」
羨ましくて私は帯刀さんに言って見たのだけれど、思いもよらぬ反応をいたずらっ子の笑みを浮かべされてしまう。
悪戯を催促されました・・・。
・・・今年のハロウィンも大変です。