夢幻なる絆

□イベント短編
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凪、今年もよろしく!!


「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「明けましておめでとうございます。今年も兄妹共々お世話になりますが、宜しくお願い致します」
「明けましておめでとう。こちらこそ今年もよろしくね」

桃色の振り袖がさらに可愛いさを引き立たたさたマリアちゃんはこれまた可愛らしく新年の挨拶をするのでお姉さんもう萌え萌えです。
渓は渓で袴姿が良く似合っていて、相変わらずイケメン兄妹だ。
新年早々縁起が良い。
あ、もちろん帯刀さんの方が、色っぽくて格好いい。

「おめでとう。マリアくん、渓。・・・夕凪、新年早々馬鹿を曝さない。今年は母親になるのだから、しっかりしなさい」
「うっ・・・すみません」

ついそんなマリアちゃん反射的にニヤニヤしていれば、いつも以上の帯刀さんの痛い視線と痛すぎるお言葉にシュンと小さくなった。
自分でもそろそろこう言う癖をなおそうとは思っているのだけれど、これがなかなか難しく改善の見込みは立ってない。

我が子をそんな目で見たら可愛そうだし、いくら母親でも怖がられて泣かれるよね・・・。
私の子ならそんなに可愛くない・・・私小学低学年まで可愛いって評判だった。
自分の幼い時の写真を見ただけでも、にやけて変態になる。
だから更に帯刀さんの血も入った我が子ならきっと親のエゴ込みで、滅茶苦茶可愛いと思う。
なんとか対策を取らないと。

「凪、私ならなれてるから平気だよ。だから落ち込まなくて良い」
「・・・マリアちゃん、ありがとう」

マリアちゃんなりの優しさと励まし方がこれ以上もない凶器で、余計落ち込みながらも偽りの笑みを浮かばせお礼だけ言う。
そう言う問題じゃない。

「マリアくんは優しいね。はい、お年玉」
「お年玉?お兄ちゃん、お年玉って何?」
「え、マリアちゃん、お年玉を知らないの?」

またマリアちゃんの株は上がり帯刀さんはポチ袋を差し出すが、マリアちゃんは不思議そうに首を傾げ渓に問う。
衝撃の真実に耳を疑りびっくりする。

子供のお正月のメインイベントであるお年玉を、十四歳になるまで知らないなんて信じられない。
こないだのサンタの件と言い、マリアちゃんって本当にどんな風に育ったんだろう?
渓は普通なのに。

「そう言えば、あげたことなかったな。俺達は外国育ちなので、そう言う感覚はなかったんですよ。マリア、お年玉って言うのは、お正月に貰うお小遣いみたいな物だよ.。帯刀さん、すみません」
「そうか。ありがとう帯刀」
「どういたしまして」

私とマリアちゃんの疑問は渓の説明で解決されて、マリアちゃんはポチ袋を受け取りお礼を言う。
帯刀さんはご機嫌だった。

そうか。
お年玉は外国にはないのか。
それだったらサンタのことも分かる気がする・・・。






「明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとうございます。南方先生達も初詣ですか?」
「はい、皆さんもですね?」
「うん、ならみんなで行こう」
「そうですね。凪様、今年もよろしくお願いします」
「こちらこそ、仲良くしてね」

初詣に行く途中南方先生と咲ちゃんに出会い、まずはお互いに新年の挨拶。
二人も初詣に行く途中だったので、一緒に行くことになった。

咲ちゃんの振り袖姿も似合っていて、女性の魅力を感じる。
ちなみに私は既婚者なので、帯刀さんが選んでくれた柿渋松煙染めの着物。
お正月なのに全体的に控えめなのは、私に落ち着いて貰いたいと言う意味も込めているのだろう。
実際に言われているし・・・。

「凪様と帯刀様の願いは、やはり胎児のこのことですか?」
「そうだよ。今年はそれ以外に考えられない」
「私もそうだね。我が子が元気で生まれてくれば、それだけで良いよ。役職上薩摩の行く末も願うけれども、それは二の次だからね」

咲ちゃんの問いに、私達は自信を持ってそう答える。
今年はとにかくそれだけが、私達夫婦の願い。
帯刀さんの場合は薩摩のことがもっともだけれども、本人がすでに我が子のことしか頭にないらしい。
もちろん私のことを大切に想ってくれる。

咲ちゃんと南方先生。
そしてマリアちゃんと渓の願い事はなんだろうな?

「帯刀さんらしいですね。私の願いは今以上に医学が世に広まり誰もが平等に医療を受けられるようにしたいですね」
「私も南方先生と同じです」
「南方先生も咲さんも立派ですね。俺はマリアと平凡で幸せに過ごせたらいいです」
「私もお兄ちゃんと一緒。今が一番幸せ」

聞かなくても全員の願いを聞くことが出来、それぞれらしさが出ていて思わず笑みが零れる。

私もマリアちゃんと同じで、今が一番幸せ。
そして帯刀さんが今以上に、私を幸せにしてくれる。

今年もいっぱい楽しい思い出を作れたらいいな。



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