夢幻なる絆

□5.抗う覚悟
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「そなたにこれを授ける」
「ブレスレット?ありがとう。だけど何これ?」
「我ら四神の最後の力を集結させ作らせたそなたの能力を増幅し制御する物。ただしそれにあまり頼らず、そなた自身の能力を上げる方が良い」

時空の荒波を逆らう中シロちゃんはそう意味深なことも言って、私の腕に天然石かなりごっついブレスレットをはまる。
不思議な感じがするブレスレット。
するとなんだかイヤな予感が不意にまたして来て、私は不安になりシロちゃんを強く抱きしめる。

いくら運命を抗う覚悟をしたって、やっぱり私は弱い人間。
すべての事情を知っているシロちゃんには傍にいて欲しい。
それは私のわがままだろうか?

「シロちゃんは、私と一緒にいてくれるんだよね?」
「今の我はそなたの元にいられないが、記憶の一部を本来いる我と共有する。だから心配はするでない」
「・・・シロちゃん」

確かにその通りの答えに喜んで良いのか悪いのかでもやっぱり少しだけ残念で、私は肩を落とし数秒の沈黙後名前だけ呼ぶ。

出来ることならこのシロちゃんに傍にいて欲しいけれど、良く考えれば今から私が戻る時空にも過去のシロちゃんがいる。
だからこのシロちゃんの居場所はない。

記憶の一部だけでも共有してくれるだけでも、めっけものだと思わないと駄目だよね?
でもそうしたらこのシロちゃんはどうなっちゃうんだろう?
世界が滅んだら・・・。

「我の愛しき人の子よ。どんな我でも我はそなたを愛してる。そなたが幸せになれるのなら、我はこの命などいつでも捨てる覚悟は出来ている」

不安のままいろいろと考えている私に、シロちゃんはそう言い優しく微笑み頬に軽くキスをした。
シロちゃんの口癖で今まで何度も言われているはずなのに、今はその言葉が重々しく聞こえ胸が温かくなりすべて勇気に変わる。

「ありがとうシロちゃん。私シロちゃんも笑っていられる運命に変えてみせるからね。帯刀さんの次で悪いけれど、私もシロちゃんのこと大好き。シロちゃんがいてくれて良かった」
「それだけでも我は、十分に嬉しい。我もそなたに出逢えて、今まで幸せだった。・・・幸せを願っとる」

私がそう言うとシロちゃんは嬉しそうに言ってくれ、私の前からシロちゃんはサッと消えると変わりに明るい光が差し込む。

今は中途半端な呪詛を払える力しか持っていないけれど、毎日鍛練を積めば強力な力になるはず。
それでも私だけではどうにもならないと思うから、シロちゃんの言うように隠すことなくすべてを話す。
対策だって必死に考える。
私が帯刀さんと幸せになれる未来を作るために、私は帯刀さんと二人三脚で運命に抗う。

・・・もう私は二度と迷ったりしない。



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