夢幻なる絆

□番外編2
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凪、龍馬に銃を習う。



「ねぇねぇ龍馬。私に銃の使い方を教えて」
「は?いきなりなんだ?」
「自分の身は自分で護るみたいな?ほら一人の時、怨霊に襲われたら大変じゃん」


龍馬に京の隠れ名所を案内してもらっている途中、たまたま龍馬が持ってる銃が目に入り軽い気持ちで聞いてみる。
調子の良いそれなりの理由を言って見るものの、本音はただリアル銃に触れて使いたいと言う好奇心の方が強い。
でも自分の身は自分で護る術を覚えとく必要はあるって、少なからず前から考えていたことでもあった。
前回は間一髪の所で帯刀さんに助けてもらったけれど、次も助けてもらえるなんて甘いこと考えない方がいい。


「確かにそれもそうだな。分かった。そう言うことなら教えてやる」
「ありがとう龍馬」


内心駄目と言われ長期戦になると思っていたら、あっさり納得し許可が出たので私は両手を上げ子供のように喜んだ。
これが帯刀さんなら問答無用で絶対許してくれず、さらに一人外出も禁止してくるとこだった。




そして人がいない森の少し奥に入った私達は、最初銃の講義を受け実践を受けることになる。
久しぶりの勉強だったけれど、好きなことだったため辛くはなかった。
ただすべて頭に入ったかと聞かれたら、答えはグレーだと思う。


「取り敢えず今日は俺の銃を貸してやる。もしあの葉を一枚でも落とせたら、俺が凪用の銃を買ってやろう」
「本当に?やった!!」


と言いながら自分の銃の一丁を私に貸してくれ、少し放れた木のある枝についている三枚の葉を指差す。
龍馬らしい気前のいい話に、ただ単純に喜ぶ私。

下手な鉄砲も数打ちゃ当たる。


「ただしチャンスは三回だけ」
「え〜、龍馬のいぢわる」
「人生そんなに甘くはない」


しかしやっぱりと言うオチに私はブーイングするけれど、龍馬は笑いながら厳しい教訓を言う。
ごもっと過ぎることだった。

だけどここで諦める凪ちゃんではない。


「よし、やるぞ。集中集中」


と張り切り呪文のように呟き、銃をターゲットに向け神経を集中させる。
そして


「ロックオン」


格好良い台詞を言って、トリガネをゆっくり引く。


ドキューン



「え?」


想像以上の衝撃に堪えられなく重心はぶれてしまい弾は明後日の方向に、銃も手から離れ龍馬に顔面に直撃。
ギャグ漫画みたいな展開に、自分が仕出かしたこととは言え笑ってしまう。


「ごめん、龍馬。大丈夫?」
「笑いながら、謝るんじゃない。銃は絶対手から放さない。脇はもっと閉める。腰に力を入れる」
「はい、師匠。なら気を取り直して、もう一度」


怒りながらも適切なアドバイスを手取り足取り教えてくれ、私はその体制を崩さずに再び狙いを定めトリガネを弾くのだが


ドキューン



銃を落とさなかった以外は何も状況が変わらず、いやさらに状況は悪化している。



「凪、諦めろ。お前が銃を使い続けたら、近いうちに人が死ぬ」
「・・・うん、私もそう思う・・・龍馬ごめん」


なぜか隣にいたにも関わらず私が撃った弾を頬にかすり血を流す龍馬は、怒らずに優しく私の肩を持ち終了の合図を口にする。
これにはいくら私でもそう思い、心の底から深く反省し素直に頷く。


そして二度と銃に限らず武器を持たないと、龍馬から固く誓わせられたのだった。



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