夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「よう、凪。久しぶり。元気そうだな」
「龍馬?どうして龍馬が・・・って言うかここは港?」

駕籠に揺られることしばらくして休憩の時間なのか下ろされ外に出てみると、そこにはお久しぶりの龍馬がいてどうも潮の香りがさっきからすると思っていたら一面に広がる海だった。
私は驚きを隠せず口を開けたたまま呆然と龍馬を見つめていると、帯刀さんがやって来て笑顔で私に手を差し伸べてくれる。

「そんな間抜けな顔をしないの。龍馬には船を手配させて、残念ながら江戸まで同行することになっている」
「残念ながらは余計だぜ?せっかく江戸まで二日で行く最速の船を用意したって言うのによ」
「え、そんなに早く行けちゃうの?」

帯刀さんに教えてもらって納得したのも束の間で、龍馬の話があまりにも衝撃的で声を上げる。

船で行くと早いことは知っていたけれど、そんなに早く行けるとは夢にも思わなかった。
しかも私はてっきり中山道を通って行くんだとばかり思っていたから、余計二日が早いと感じたんだと思う。

そうか、たった二日で行けちゃうんだ。

「ああ。だけど未来はもっと早く行ける乗り物があるんだろう?え〜と“しんかんせん”だっけぇ?」
「うん、そう。一刻と四半刻も掛からない」
「さすが未来だよな?今の俺達にはまったく想像できないことだ」
「そうだね。そのうち一刻も掛からない乗り物が出来るとか言ってるけれどね」
「未来は本当に、未知の世界だな?」

すると未来の話になり、龍馬はいつものように目を輝かせる。
そんな風に聞いてくれると話しているかいがあって、私も嬉しくてついつい新情報を提供してしまう。
しかし帯刀さんの顔が、徐々に険しくなって行く。

・・・・まさか嫉妬してくれてる?

「帯刀さん、もしかして嫉妬してます?私が楽しそうに龍馬と話しているから」
「帯刀お前以外とお子様だったんだな。安心しろ俺と凪は親友ただそれだけだ」

そんな帯刀さんが可愛くなってつい余計なことを言って構うと、龍馬も一緒になって面白そうに構い私達の関係を否定した。
滅多に見られない帯刀さんが、こんなにも愛しく感じる私がいる。

「別に・・・。さっさと行くよ」
「あ、待って下さい帯刀・・・・」

ゴッテッ


拗ねるように素っ気なく言って一人で乗船する帯刀さんの後を急いで追うと、案の定と言うか罰が当たったのか石に躓き顔面から派手に転ける。
せっかくの新しい服が汚れ、しかも鼻を擦りむいたらしくヒリヒリする。
当然膝も擦りむいていて、血が少し出ている。

「・・・まったく。本当に君は、世話の掛かるお姫様だよ」
「え、ありがとうございます」

そこへすぐに帯刀さんが戻ってきてくれ、文句を言いながらも私をお姫様だっこしてくれる。
私は落ちないようにしがみつき、自分の行いを反省した。



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