夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「どう少しは落ち着いた?」
「はい、おかげさまで」
「そう?なら良かった」

しばらくしてようやく落ち着きを取り戻した私は帯刀さんの言葉に、そう笑顔を浮かばせ頷き見上げる。
本当に私は帯刀さんがこうして傍にいてくれたから、いつもの私に戻ることが出来た。

「すみません。訳分からないことばかり言ちゃって」
「私は、信じるよ。夕凪の言葉ならなんでも」
「凪のその時の記憶は誰かしらによって封印しており、恐怖心だけがより強く踏め込まれておる。残念ながら今の我の力では、その封印を解くことは出来ぬ」

何はともあれ迷惑掛けたことを謝ると、返ってきた特にシロちゃんの悔しそうな言葉は信じられないものだった。
てっきり気が動転していた私の妄想だと思われ、信じてくれていないと思っていた。

確かに私の記憶はなくなっていて辻褄はあっているけれど、なんでわざわざそんなまどろっこしいことをしたんだろう?
もし犯人の顔を私が見たとしたんなら、そんなことしないで殺した方が早いし確実だと思う。
犯人は私が何かの拍子に思い出すって、危機感は感じなかった?
自信があった?
それとも他に何か目的が・・・?

「本来の力であれば、きっと封印を解くことが」
「解かなくて良い。もしそれが夕凪にとって、打撃的な悲しい現実だったらどう責任を取るんだい?」
「う・・・それは・・・」

シロちゃんは前向きで本当に私のことを思っていってくれた言葉を、帯刀さんは帯刀さんで私を想ってそれを強く否定し私を再び抱き寄せる。
帯刀さんの言葉がもっともだと思ったのか、シロちゃんは口を詰まらせ黙ってしまう。

「私は元気で明るい夕凪が一番好きなんだよ。悲しい顔をされると、私まで悲しくて辛くもなる。夕凪には悲しい顔も涙も似合わない」
「なら帯刀さんの傍では、いつも笑っていますね」
「違うそうじゃない。私の傍にいる時は、ありのままの夕凪でいればいい」
「分かりました。だったら帯刀さんも、ありのままの帯刀さんでいて下さいね?私はどんな帯刀さんでも愛していますから」
「そう?ありがとう夕凪」

ここで私はまた帯刀さんの限りのない大きな愛情を肌で感じ取り私もまた同じ気持ちであることを伝え、当たり前のようにすぐ私達の唇を重なり合わせる。

その時いつの間にかシロちゃんは姿を消していたため、「シロちゃんもありがとう」ってテレパシーを送った。



そして



「・・・戻って来ちゃったね」

目が覚めると、お久しぶりの我が家だった。
分かりきっていた展開だったけれど、やっぱり例えようのない寂しさがおしよせ肩を落とす。
無意識に骨折してる腕を抱きしめれば、帯刀さんの匂いと温もりもほんの少し感じることが出来た。


「あっ、そうだ。龍神の神子のこと調べないとね」

このまましんみりとしていたら涙が溢れ出し帯刀さんとの約束を破るのが確実だったから、私は帯刀さんに任せたことを思い出しながらベッドから起き上がりPCのスイッチを入れる。

すべてを帯刀さんに任せるより、私も調べてある程度把握しておきたい。
ネットで調べれば、きっと何かしらヒットすると思うんだ。

だけどなんで私知らないんだろう?
結構いろんな幕末の本は読んでるはずなのに、一度も龍神の神子が出てきていない。
そう言えば怨霊それから四神が、本当にいるなんて知らなかった。

・・・消された現実?

そんなことを真剣に考えているうちにネットは立ち上がり、私は自由が効く片手でゆっくりと文字を入力。
利き手じゃないから苦戦する。

“龍神の神子”

ようやく打ち込め検索ボタンを押すと検索結果はすぐに出てくるけれども、私はその内容に目を疑った。

「遙かなる時空の中で???」

それは名前だけなら、なんとなく知っている。
確か私の好きなギャルゲーの反対で、男性を落とす乙女系と呼ばれるゲームだった気がする。
そんなゲームがなぜ一番最初にヒットするんだろう?

なんて戸惑いながらクリックし内容を読みキャラクターを見た瞬間、私の顔は真っ青に染まり硬直した。

知りたくなかった飛んでもない事実を、私は知ってしまったのかも知れない。



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