夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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私が死んだらどうなるんだろう?
多分傷付いた屍が未来に戻ることになったら、きっとニュースざたになってワイドショーが騒ぎ出すだろうね。

一人暮らしの女性が変死を遂げる。

って。
私ってば死んでからも、お騒がせな奴。

こんな結末を迎えるなら、幕末なんてタイムスリップしない方が良かったかも知れない。
そりゃぁ運命の人に出逢わないのは虚しい人生だとは思うけれど、出逢わなければ人を愛することも知らず今まで通りそれなりの気楽な人生を送れていた。
何よりもこんな非科学的な怖い目に合わずにすんだんだよね?

でもそれでも、私はやっぱり・・・・。


死後の世界は以前私が生死をさ迷った時に体験した場所に似ていた。
真っ暗闇で何もない場所。

「・・・こないで。なんで私だけが、こんな酷い目にあわなきゃいけないの?」

あの時のように恐ろしい物体が私目掛け信じられない早さでやってきて、私を捕まえようと襲ってくる。

死んでるのに、恐怖を感じる。
早く逃げなきゃいけないのに逃げることが出来ず、手当たり次第の物を投げ抵抗してみるが効果はなさそう。
そして私は呆気なく恐ろしい物体に捕まるけれど、それでも私はがむしゃらに暴れひっかきまくった。
思いっきり噛むと、物体はようやく微かに怯む。

地獄だとしても、こんな思いはしたくない。
あんな激痛と恐怖で死んでいったのに、なんでまた同じ思いをしないといけないの?

「離して。私を静かに眠らせて。・・・もう怖い思いなんてしたくない」
「・・・・大丈夫。もう怖くないから」
無駄だと分かっても物体にそう抗って、再び力の限り噛む。

すると物体は帯刀さんの声で悲しげにそう言い、私を強く抱き寄せる。
私が一番大好きな温もり。
パニックでただ恐怖でしかなかった冷え切った心が、徐々に落ち着きゆとりが出来温かくもなっていく。
とにかく不思議な感覚。

「・・・帯刀さん?」
「そうだよ。やっと正気に戻ったね」

半信半疑で私は愛しい人の名を呟くとあんなに恐怖だと思っていた物体が愛しい人の姿に変わり、優しく笑みを浮かばせ私をもっと強く抱きしめてくれる。
息も出来ないぐらい苦しいけれど、それ以上に幸せを感じた。

私はまだ生きてる?
死んでない?




「帯刀さぁん、怖かったよ。すごく怖かった」

帯刀さんの声と温もりでようやく我に変えると、辺りは明るくなりどこかの部屋だった。何かがほつれた私は帯刀さんの懐で、子供以上に大泣きしてしまう。
そう仁和寺で怨霊で襲われ、間一髪で助けられたあの時のように。
あの時から帯刀さんの懐は、私にとって特別な場所。

「よしよし。一体何があったの?」
「え、分からないです。だけど本当に怖かったんです。信じて下さい」

そんな私を優しくなだめてくれ理由を聞かれるが、なぜか理由がまったく記憶にない。

私はどうしてここにいるかも。
なんで体中のあちこちが痛くて、しかも利き手の腕が折れていることも。
何も記憶がなくって、簡単に言えば消えている。

でもこの恐怖に感じる感情は、多分本物だ・・・。



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