夢幻なる絆

□4.新婚旅行
44ページ/48ページ



「これはこれは宰相殿」
「小松帯刀と、君は小松帯刀の所の確か・・・」

早速私達は二人の元に行き帯刀さんは愛想よく宰相に声を掛けると、宰相は一瞬どこか気まずな顔をしたけれどすぐに元に戻り受け答えをし私のことを思い出そうとしている。

あんな出会いなのだから、当然名前は覚えられてないだろう。
むしろ覚えられていただけでも驚きだ。

「今では私の妻です」
「小松夕凪と言います。先日はまだ京に来たばかりで何も知らなく、大変ご迷惑を掛けました」

帯刀さんから軽い紹介をされた後、私は失礼がないよう言葉に気をつけながらそう言い深く頭下げる。

おおむね本当のことを言ってためしくじることはないから、なんとか乗り切れるかも知れない。

「いいえ。私の名は天海。二人はどうしてこちらに?」
「妻は大変歴史に興味があるようで、どうしてもとせがまれてしまいましてね」
「そうなのですか。では是非中に入って見学していって下さい。係りの者には言っておきますので」
「ありがとうございます。良かったね夕凪」
「はい、とっても嬉しいです。ありがとうございます」
「いいえ。では私はこれで」

話は面白いように良い方向へと進み嬉しい約束をしてくれて、宰相は軽く会釈し夢の屋さんと共に私達の元から去っていく。
苦手だとばかり思っていたけれど、結構人当たりの良さそうな人だった。
それによく見ればイケメンで、宰相なのに若そうに見える。
でも相変わらず私の野生の感は、あんまり近づくなと警告している。

なんでだろう?



「夕凪、宰相殿にはくれぐれも気をつけなさい」
「え?」
「あの人は何を企んでいるのか分からない。信用したら駄目だよ。夕凪は優しくされると、すぐしっぽを振って服従するのでしょ?」
「・・・・うっ、そうかも知れない」

宰相達が完全に見えなくなると帯刀さんは真顔で私を見つめそう忠告し、首をかしげる私に分かりやすく私の欠点を言うべき物を教えられる。
言われて自覚するほどの図星で、自分の感も警戒してることもあり肯定するしかなかった。

帯刀さんの言う通り私と言う奴は、少しでも優しくされるとすぐ信用してしまう騙され安い女である。
疑うことを知らないと言えば純粋で聞こえが良いかもしれないけれど、現実に言えばただの馬鹿な奴でしかない。
ドジっ子はリアルだとムカツクと同じで、現実はシビアだけれどそう言う物なのだ。

「だからあの男とそれから夢の屋も信用したらいけないし、もちろん絶対に素性を明かさないこと。いいね?」
「夢の屋さんにもですか?・・・まぁ開かすつもりなんてないですけれど・・・」
「夢の屋は情報屋だから、あっと言う間に知れ渡る」
「了解です。死んでも言いません」

夢の屋さんの恐るべき職業を聞かされ、鳥肌と寒気を感じ思わず敬礼してしまい固く誓う。

くわばら、くわばら。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ