夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「だったら彼女に中絶してもらって、慰謝料払って別れなさい。あんたなんかに女性を抱く資格なんかない」
「・・・姉貴」

考えれば考えるほど弟のすべてが許せなくなって、私は涙をグッと堪え怒りをあらわにそう言い捨てた。
突然のことに弟はただ唖然と、私を見つめている。

彼女が可哀想。
こんな最低で愛されてもいない人間に、抱かれた挙げ句妊娠させたられた。
それなのに責任も取らず、中絶を進めてくる。
それともその彼女も、弟と同じ気持ちなんだろうか?
自分をそこまで愛してくれていない男性に抱かれて、彼女はそれで満足なんだろうか?
それが普通なの?

少なくても、私は違う。
帯刀さんのことが大好きで愛してるから、私は帯刀さんと結婚して抱いてもらった。
こんな凡人以下の私でも、帯刀さんから本気で愛されている自信がある。
だから帯刀さん以外の男性になんかに抱いて欲しいなんて、ちっとも思わない。

「・・・とにかく彼女とよく話すべきね。男として彼女が望むべきことをしなさい。それ以外のことをするなら、私はもうあんたとの姉弟の縁を切る」
「・・・分かった。もう一度俺良く考えて、あいつとももっと話し合う。・・・ありがとうな姉貴」

いつもの弟なら怒って売り言葉の買い言葉なるはずが、今は珍しく私の言葉をまともに聞き入れてそう言い残し帰っていった。

少しは私の言いたいこと分かってくれた?
それならいいんだけど・・・。

・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。

−けして未来で泣いたりしたら駄目だよ。約束できる?

「泣かないもん・・・」

誰もいなくなりシーンとする我が家。
私はとてつもない寂しさが襲って来て、部屋の片隅で小さくなり優しい帯刀さんの声を思い出す。
強がって見ても自然の涙が溢れてしまい、堪えることが出来なくて無理矢理手で目を押さえ涙を止める。

なんで私の心はこんなに弱いんだろう?
もっと強くなりたいよ。



「・・・そうだ。タロットしないと。今日こそ運命の輪が出るよね?」

このままでは約束を破るのは時間の問題だったので、私はそう言ってタロットカードを取り占いを始める。

帯刀さんに逢いたい。
傍に行きたい。
抱かれたい。

神経を集中させ帯刀さんのことだけ考えて、私はカードを机の上に広げシャップルする。
そして結婚指輪にそっと口づけし、その中から一枚だけを選ぶ。

「・・・・・出た」

祈る気持ちで目を開けカードを見れば、それは二週間待ち望んでいた結果。

運命の輪・・・だった。



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