夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「夕凪は本当に自分が龍神の神子だと思ってるの?龍神の神子とは汚れなき清らかな少女だと言われているんだよ」
「うっ・・・そう言われると、逆立ちしたって私はもう少女じゃない・・・」

食事中咲ちゃんに教えてもらった言い伝えを帯刀さんに話すと、帯刀さんはすでに知っているようで考えることもなく痛い言葉で可能性をなくす。
確かに私は少女ではなく、熟女手前の女性。

・・・色気なんか、まったくないけれど。

「それもあるけど、夕凪は私に毎晩汚されてるでしょ?」
「え、そう言うことなんですか?」

私とまったく異なる解釈を構うように耳元で囁かれ、耳から一気に赤く染まり声も裏返ってしまった。

汚れなき清らかな少女とは、男を知らない初な少女。
・・・そしてそのいたいげな少女が様々な体験をして大人の女性になっていく。
よくある18禁恋愛ゲームの筋。

「それにその神子様には八葉と呼ばれる八人の男性の従者がいるらしい。夕凪には私一人で十分でしょ?」
「・・・・・・」

私のくだらなくやましい予想はさらに悪化して、いやらしい妄想に歯止めが付かなくなり大輪が咲く。

一人で、八人相手・・・。
イヤきっと隠しキャラとか、敵側にもいるんだろうからそれ以上。
どんだけ悪女なんだ龍神の神子は?

「小松帯刀は八葉の一人であるのは確かだな。仮にも我が守護する人の子」
「辞退する。私の姫君は夕凪だけで十分だよ。シロが私の代わりにやればいい」
「我も凪に仕えると誓ったのだから、凪の傍を離れるわけにはいかない。・・・龍神がしばらく神子を選ばないことを祈ろう」
「それはいい考えだね。・・・夕凪、鼻血が出てるよ」
「・・・え、はっ?本当だ」

一見真面目な話のようで実はどうしようもない馬鹿げた内容を二人は語り合い、私は行き付く所まで妄想しているといきなり帯刀さんにそんなことを言われ我に返る。
慌てて鼻を押さえて確認すると、手が真っ赤に染まっていた。
・・・どうやら興奮したらしい。

「・・・一体どんな想像をしていたの?龍神の神子は世を救うのが目的。夕凪が考えるようなことはない」
「ななんのことを言ってるんですか?」

いつものようになぜか私の考えを読まれていて、冷たい視線で見つめられ否定される。
ダメ元でしらを切るけれど、おそらく効果がない。
それどころか、

「・・・八葉の一人が私だとしても、夕凪はそう楽しんでいられる?」

と笑えない例え話を言われてしまい、私の歪みきっていた顔からさっと血の気が引く。

帯刀さんが龍神の神子の八葉?
帯刀さんが私以外の少女と関係を持つじゃなくって、私以外の少女を守る。
汚れなき清らかな乙女と言うぐらいだから、きっと芯の強い綺麗で勇敢な少女なんだよね?
そしていつしか恋に落ちて、私は・・・。

「そんなの絶対駄目です。私と龍神の神子とどっちが大切ですか?」
「そんなの夕凪に決まってるでしょ?・・・まったくここまで言わないと、相変わらず分からないんだね」

思いっきり無茶苦茶なことを言って帯刀さんを独占しようとする私なのに、帯刀さんは嬉しそうにそう言い私を抱きしめ髪をなぜてくれる。
暖かい心地の良い大好きな温もりに、私は身を任し目を閉じた。

「・・・帯刀さんは私だけの人ですよね?」
「ああ、そうだよ。私は夕凪だけの物で、夕凪は私だけの物。あとはシロに任せたから、もう心配はいらないよ」
「はい。だけどシロちゃんも私の傍にいて欲しいです」
「本当に夕凪はわがままだね。大丈夫シロもどこにも行かないから」
「フム。我も凪の傍にいる」

最強のわがままも二人は聞き入れ、私に約束してくれた。



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