夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「夕凪は隠れてなさい。そんなに脅えなくても、私が守るから安心しなさい」
「はい、分かりました。くれぐれも気をつけて下さい」

過去怨霊に襲われてるため反射的に体が震え恐怖に脅えていると、怨霊にも物応じてない帯刀さんは私を守るように一歩踏み出し力ある言葉でそう指示し言い切ってくれた。
だから私は不思議と恐怖が消え疑いなく、素早く近くの井戸に身を潜める。

帯刀さんを信じてるから、きっと大丈夫。
例え怨霊が何匹いようとも・・・さすがに6、7、8匹は多い?
しかも囲まれて、ピンチだったりする。

「帯刀」

ドキュン ドキュン


心配になって帯刀さんを叫んだ最中、銃声が響き怨霊を打ち抜き二匹消え去った。

「ヒーロー登場。加勢するぜ」
「龍馬!!」

そして龍馬が一昔も二昔も前の台詞を言いながら、帯刀さんの元に颯爽と現れる。
まるで戦隊物を見ているようで、文句なしで格好良くってちょっと胸キュンしてしまう。

・・・帯刀さんには内緒だけど。

「龍馬か。なら後ろは任せるよ」
「任せとけ。凪、すぐ片付けてやるから、そこで大人しく待ってろよ」
「うん、龍馬も頑張ってね」

何も出来ない私はただ笑顔でエールを送り、見守るしかできなく心の奥では歯痒い思いをしていた。

もし私にも戦うすべを持っていたら、龍馬がいる場所は私だったかもしれない。
私だって帯刀さんを守りたい。
でも現実の私は邪魔にならないようにこうして、遠くから見守り無事を願うだけ。
そんなの私らしくないと思っても、何も出来ないんだから仕方がないこと。

そして二人はコンビネーション良く鮮やかに、残りの怨霊を次々と倒して行く。
あっと言う間に残り二匹になり、後もう少しと言う所で事件は起きた。

「お母ちゃん、どこにいるの?おかあ〜ちゃん」
「え?」

泣きじゃくる幼い女の子が必死にそう叫びながら、私の目の前を通り過ぎてどこかに行こうとする。
不意にイヤな予感が過ぎった私は女の子を止めようとしたが、

「シャアア〜」

新たな怨霊がどこからともなく現れ、あろうことか女の子に狙いを定め襲いかかろうとする。
帯刀さんも龍馬も、残りの一匹に苦戦していてまだ気づいてない。
女の子を助けることが出来るとしたら、今は私だけ。
私は何も出来ないけれど、私に何があったら絶対帯刀さんが助けてくれる。

「危ない!!」
「え、キャァ〜

バサッ


後のことなど考える余裕もなく私は女の子を間一髪で守ることが出来たけれど、その変わりに肩を怨霊に斬りつけられ血がボタボタと地面に落ちて行く。
例えようがない激痛が走り悲鳴をあげたくても、すっかり怯え私に泣きつく女の子をの前では痛みを堪えるしかない。
これ以上女の子を怖がらせたら、可哀想だ。

「だ大丈夫。もう怖くないから・・・」
「お姉ちゃん・・・?」

出来るだけ笑顔で髪を優しくなぜながら、女の子を落ち着かせようとする。
きょとんと私を不思議そうに見つめる女の子。

「シャアア〜」

再び怨霊は私達目がけて襲ってくるが、

「夕凪」

バサッ


ようやく帯刀さんが気づいてくれて、怨霊は薙刀でバッサリと切られ消滅する。
さすが帯刀さん。
私の期待を、いつだって裏切らない。

「やっぱり帯刀さんが、一番格好良いや。・・・良かった」

すっかり安心した私はそう言って、激痛に絶えられなくなり意識を失う。



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