夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「帯刀さん、本当にどうしちゃったんですか?もし私のせいなら謝りますから」
「自覚がないなら、無闇に謝らない」
「うっ・・・すみません」

怒りを和らげるつもりが、余計な怒りに触れてしまいビックっとし小さくなる。
こう言う時の帯刀さんは怖いけれども、私は逃げずにそっと手を握った。
私はどんな帯刀さんでも愛してるから、傍にいることが許される限り傍にいる。
それが夫婦だから。


「・・・夕凪のせいじゃないよ。あの人は何か重大なことを、私達に隠しているように見えた。それを聞きたいそう思ったから、ああ言っただけ」
「そんな風に見えてたんですね。私にはまったく分からなかった」
「素直な夕凪には、分からなくても良いこと。今度は私一人で行くから、夕凪はお留守番」
「分かりました」

そんな私の気持ちが伝わったのか思いの他早く真相を聞けて笑顔で、その後の帯刀さん言うことを素直に聞き入れられることが出来た。

本当は私も一緒に聞きたかったけれど、私がいたら話が拗れる可能性が大。
だからここは帯刀さんに任せて、私は後で帯刀さんから聞くことにする。
それが一番の良い方法だと思う。

「私の妻は本当に素直で良い子だね。そんな夕凪に着物を買ってあげる」
「本当ですか?嬉しいな。なら帯刀さんが選んで下さい」
「私が?好きなのを選んでいいんだよ」
「私は帯刀さんに選んで欲しいんです。・・・駄目ですか?」
「こんな道ばたで、そんな眼差しで私を見つめない」

嬉しさいっぱいで手繋ぎから腕を組みちょっと甘えてお願いすると、帯刀さんの頬は少しだけ赤く染まらせ忠告されてしまう。
その忠告はたまに言われる物で、私はますます首をひねり考える。

私のお願いする時の視線は、そんなに変な物なんだろうか?
それとも私が甘えると不気味?

「そんなに私の顔酷いですか?」
「・・・夕凪はどうしてこう言う時だけ、後ろ向きに物事を考えるの?その逆で理性を失うからに決まってるでしょ?それとも夜だけじゃ物足りないから、こんな道ばたでもやって欲しいわけ?」
「そそんなわけないじゃないですか?・・・夜だけで私は十分満足ですから」

それは思わぬ展開になってしまい、私は顔を太陽のように一瞬で真っ赤に染まらせ声を裏替えしながら激しく否定。
私まで恥ずかしくなり、気のせいだと思うけど周りの視線が痛い。

たったあれしきのことで、理性を失う?
私は別に誘ったつもりは、一切ない。
男性の発想は、そう言うもん?
まさか四六時中発情してるってこと?
・・・男性は本当に獣だ。

「相変わらず夕凪は男心を揺さぶるのが得意だね。仕方がないから今はこれだけで許してあげる」
「え・・・、あっ?」

やれやれと言った感じで帯刀さんはそう言って、道ばたで私の唇を塞ぐ。
こんな所で思いつつも、私は拒否できずに受け止めてしまう。
帯刀さんとキスしている時は、周りのことなんて考えられない。

でも

「怨霊だ。怨霊が出たぞ」

幸せな時間は長くは続かず、辺りは一気に緊迫し騒然とする。




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