夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「もう一改めて聞きます。南方先生」
「はい」

どこまで話を戻せばいいのか分からなかったから今度は暴走せずゆっくりと話を切り出せば、南方先生も真顔になり緊張しているのか唾をゴクリと飲み込み私を見つめ返答する。
今度は大丈夫そう。

「あなたは未来人なんですか?」
「なぜそう思われるのでしょうか?」
「ペニシリンです。あれはイギリスのサー・アレクサンダー=フラミンゴ」
「フレミングです」
「・・・・・・」
「どうやらあなたも、本当に未来人のようですね」

せっかく帯刀さんに良いところを見せて名誉挽回するはずが、覚え間違いでツッコミを入れられ更なる恥をかく。
だけどそれは南方先生が未来人だと言うことを意味していて、私の変わりに帯刀さんが綺麗いにまとめてしまった。

やっぱりこうなるんだね・・・。

「・・・だけどあなたこそどうして?」
「私も南方先生と同じ未来人だからです」
「・・・え?だけどあなたは帯刀さんの妻なんですよね?」
「未来人と私達が夫婦になったらいけませんか?異論があれば、聞きますよ」
「・・・いえ別に。結婚は本人同士の自由だと思います」

こめかみを痙攣させた帯刀さんの脅威の迫力に、南方先生は精一杯の引き攣った笑みを浮かべやんわりと受け答えをする。
白虎さえ恐れる帯刀さん強し。

「先生、ごめんな。帯刀の奴、凪が絡むとすぐ熱くなるんだよ。本心は良い奴なんだ」
「そうなんですか。それで凪さんはいつのからこっちに?」
「こっちの世界では、約一年前になるかな?南方先生は?」
「私は二年ぐらい前から」
「なら私の先輩ですね。同じ境遇同士これから仲良くして下さい」
「こちらこそ」

ようやく警戒心が解れたのか、南方先生の顔にやっと笑顔が浮かんだ。
私も嬉しくて笑顔が浮かぶ。

南方先生が男だってことが少し気に掛かるけれど、異性だとしても根本的な悩みはそんなに変わらないよね?
帯刀さんだって南方先生とどんな交流をしたいかって、下手に隠さずちゃんと話せば分かってくれると思う。

「だけど先生も人が悪いな。俺に未来人だって、隠すなんてよ」
「すみません。なんか言いづらくって、実は咲さんにしかまだ言っていないんですよ」

少しふて腐れた龍馬が愚痴を零すと、申し訳なさそうに南方先生は意味深なことを言う。
それは非常に考えにくいことであって、しかも南方先生は開業医だ。
私は理解できず首をかしげる。

「え、それで良く今まで隠し通せましたね。未来に帰っている時は、どうしてるんですか?」
「は、未来に帰る?凪さんは戻れるんですか?」
「はい。・・・南方先生は帰れないんですか?」
「ええ、今まで一度も」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

まったく異なる私と南方先生のそれぞれの体質を知った瞬間、部屋全体一気にシーンとなりしばらく沈黙が続いた。



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