夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「南方先生、こっちが薩摩藩家老小松帯刀とその妻で俺の親友の凪。二人とも南方仁先生だ」
『よろしくお願いします』

ようやく仁友堂にやって来た私達を龍馬の言っていた南方先生が出迎えてくれ、玄関先でお互いを紹介してもらいあいさつを交わす。
さっぱりして人の良さそうな男性で、歳は西郷さんと同じぐらいだろうか?

・・・この人も私と同じ未来人。
私と同じく未来と過去を行き交うことが出来るのだろうか?

「あの〜南方先生?」
「はい、なんでしょう?」
「いきなりですが、南方先生は未来人なんですか?」
「ゲホゲホ」
「いきなりそれを、こんな所で聞くか?」
「・・・夕凪らしいね」

遠回しにそれとなく聞くのは性に合わない私は単刀直入に聞くと、龍馬は目をまん丸くして驚き南方先生は図星らしく思いっきり咳き込む。
帯刀さんは私の性格をよく分かってるから、いつもと変わらずクスッと笑う。
これが私のやり方だ。

「やっぱりそうなんですね?実は・・・ムムムッ」
「夕凪、少しは落ち着きなさい。ここでそう言うことは話さない暴走しない」
「南方先生、取り敢えずどこかゆっくり話せる場所はあるか?」
「そそうですね。こちらへどうぞ」

私も告げようとするといきなり帯刀さんに抱きしめられたと思ったら口も塞がれ押さえられ、龍馬も口を合わせ戸惑う南方先生に奥へと案内された。




「く苦しかった。酷いじゃないですか?帯刀さん」
「そうでもしなければ夕凪の暴走は止まらないでしょ?もし誰かに聞かれて、その人が悪い人だったらどうするの?」
「うっ・・・帯刀さんに守ってもらいます・・・」

一番奥の部屋に通され無事に解放された私は息を整え愚痴を零すが取り扱ってもらえないどころか、恐ろしいことを言われて墓穴を掘り苦し紛れで他人任せにして乗り切ろうとした。

あんまりそう言うことを言いたくなかったけれど、もしそうなったら私は帯刀さんに守ってもらうしか道はない。
私や多くの女性オタクが苦手としている守られるだけの女性。
戦うすべを持たない私には、残念だけれどそれしか方法がないもんね。
ゲーム見たく簡単に習得できる程、現実世界はそんな甘くはない。

・・・でも悪い人ってどう言う人?

「他人をあてにしない。でもまぁそれは賢明な判断だね。何かあったらすぐ私だけを頼るんだよ。シロになんて頼ったら、許さないからね」
「・・・はい。分かってます」
「そこの二人。それ以上、のろけるな。南方先生が困ってるだろう?」
「えあ、その・・・」
「あそうだったね。早い所本題に入りましょうか?」

龍馬の言う通り南方先生は顔を真っ赤にして視線を泳がし言葉を詰まらせていたのを見て、私もなんだか恥ずかしくなり帯刀さんも恥ずかしそうに咳払いをして話を元に戻す。



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