夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「うっ・・・。気持ち悪い食べ過ぎた」
「調子にのって5つも食べるから、自業自得だよ」
「・・・すみません」

もうすぐ約束の時間だと言うことで南方先生が経営する仁友堂に行く途中、私は胃がムカムカし気持ち悪さと戦っていた。

今思えばいくら美味しいからと言っても、さすがに5つは食べ過ぎた。
でもああ言うのって、一度食べたら止まらないんだよね・・・。

一部始終を知る帯刀さんからは、軽蔑の視線で見られ厳しいお言葉をもらう。
あんなに家老の妻としてと言われていたのに、これでは会う前から家老の妻失格。
完全無欠な帯刀さんに、恥をかかせてしまう・・・。

「私行かない方が良いですよね。宿に帰ってしばらく休んでますから、どこかで待ち合わせしましょう?」
「駄目、夕凪も行かないと」
「でも・・・」
「なら私も行かない。龍馬、悪いね」

最後の手段として帯刀さんのためにも私は行かないと言う選択肢を選び切り出してみると、なぜかそれを許されずしかもあっさり龍馬を裏切る行動に出る。

帯刀さんは恥ずかしくないの?
私のことだから、きっと迷惑を掛けて恥をかかせてしまうのは目に見えてるのに・・・。
それでも本当にいいの?

「おい、ちょっと待てよ。凪どうしてそう言う事言うんだ?これはこれからの日本には必要なことだって、凪になら分かるだろう?」
「・・・だったら私は帯刀さんのお付きの者と言うことで、男装」
「それも駄目。夕凪は私の妻だよ。なんで今さらそう言うわがままを言うの?」

龍馬の問いはごもっともで考え抜いた私は新たなる方法を導き出したのに、なぜかそれも却下されしかもわがまま扱いまでされる始末。
確かに私はわがままだけれど、これは帯刀さんのために言っていること。
わがままなんか言ってない。

「だって今からこれじゃぁ、私絶対帯刀さんに恥をかかせてしまいます。それでいいんですか?」
「ああ、構わない。それが私の妻なのだから、仕方がないよ。それでも私は夕凪に傍にいて欲しい。これで満足?」
「・・・帯刀さん、ありがとうございます。私嬉しいです」
「こんな道の真ん中で、二人だけの世界に入りこまない。・・・さっさと行くぞ」

優しすぎる帯刀さんの言葉に不安は綺麗さっぱりなくなり帯刀さんの愛に現を抜かしていると、当たり前のように弱冠呆れた龍馬は私達の開いている手を無理矢理引っ張り強引に歩き出す。
龍馬が怒るのも無理はない。

だけど私は帯刀さんにそう言って貰えて嬉しい。
これを励みにして、なんとか乗り切れるように頑張ろう。



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