夢幻なる絆

□4.新婚旅行
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「夕凪、元気がないようだけれど、何か悩み事?それとも私が藩邸に行ったから怒っているだけ?」
「怒ってはいません。ただ考え事をしてるだけです」
「考え事?言ってみなさい」

約束通り夕食前に帰ってきてくれた帯刀さんと仲良く夕食をしている時、元気のない私を気にして真意を問い出さそうとする。
帯刀さんには隠し事は出来ない私は、食事する手を止めた箸を置き話を打ち明けることにした。

「私はどうして過去に来たのかなって考えてたんです。もしかして四神の呪詛を浄化するのが私の使命じゃないかと思って・・・」
「夕凪は私と出逢うため、未来からやって来た。それだけで十分だよ。四神のことなんか考えないで、私だけを考えなさい」

後ろ向きな私に、ごもっとな答えを帯刀さんは言う。

私も最初はそうだと思っていた。
私が過去にこうしてこられる理由は、運命の人である帯刀さんと出逢うため。
だって私がここに来られるきっかけは、多分運命の輪だから・・・。
でも本当にそれだけなの?
だとしたどうして私に、浄化出来る変わった能力があるのだろうか?

「それはそうですけれど、でもそれだけじゃない気がして・・・。実際私はシロちゃんの呪詛を浄化出来たわけであって、青龍と朱雀は私に助けを求めてます」
「・・・シロ、私の夕凪に何をしたの?正直に話さないと、この江戸で捨てるよ」

更に怒られるのを覚悟で恐る恐るさっき思った可能性も言ってみると帯刀さんは立ち上がり、どう言う訳は部屋の隅でくつろいでいるシロちゃんをつまみ上げ恐ろしい声で詳しい事情を聞き出そうとする。

シロちゃんのことは何一つ言ってないのに、どうして帯刀さんはシロちゃんに訳を聞くのだろうか?
隠し事をする以前に、すべてお見通し?
それともこの状況なら、シロちゃんも関わっていると思うのが普通?

「小松帯刀、落ち着け。実は朱雀の札を持った人の子と出会ってのう・・・。あれはきっと朱雀が守護している者だろう。名は確か藤田小四郎・・・」

帯刀さんことをを何よりも恐れているシロちゃんは、逆らうことなく脅えた仔猫のように訳を話しマコトのことも洗いざらしに白状した。
ただチナミちゃんにバレ掛かったこは、何も触れずなかったことにしようとする。
そんなこと言えば、外出禁止になりかねないからね。


「・・・夕凪、そんなに四神達を救いたい?私との大切な時間をなくしてまで?」
「それは、イヤです。だから私は悩んでいるんです」

すべてを知った帯刀さんから意地悪な質問をされてしまい、私は激しく首を横に振って嫌がりちょっとだけ逆上する。

私にとって帯刀さんとの時間が一番大切で失いたくないんだけれど、四神達のことを無視も出来ない。
シロちゃんが言うように、無視出来れば一番良いのに・・・。

「そう。だったら私も夕凪が納得できる答えを、一緒に考えるしかなさそうだね」
「え、本当にいいんですか?」
「いいよ。それでいつもの夕凪に戻ってくれるのならば」
「帯刀さん、ありがとうございます。やっぱり帯刀さんは優しいですね」

そんなウジウジしている私を帯刀さんは見捨てることなく、なんだかんだと言っても最後は私に手を差し伸べてくれる。
単純な私はそれだけで悩みなんてさっと消え去り、嬉しくて自然と笑顔が零れ帯刀さんに飛びつく。

帯刀さんと一緒に考えれば、きっと何か良い方法が見つかるよね?



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