夢幻なる絆
□番外編1
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凪、疑われる。
「うわぁ〜、これが二条城か。やっぱ現役は迫力が違うな」
二条城前にたどり着いた私は想像以上の建物に、ものすごい感動を覚え見とれてしまう。
こうなると中に入って見たいけれど、入り口と入り口は門番が必要以上に見張っているし、当たり前だけれど城はお堀に囲まれている。
完璧な防犯システム。
そもそも万一忍びこめたとしても捕まったら、帯刀さんに怒られるだけじゃすまなさそう。
「しょうがないから、写真だけ撮って帰るか」
と私は呟きたまたま持ってタイムスリップしていたデジカメを取り出し、二条城を心ゆくまで撮り続ける。
おかげで周囲が見えなくなり、ある異変に気づかずにいると
「そこの女、何をしてる?」
「え、写真撮影だけど・・・」
門番の一人がすごい厳つい顔で聞いて来たけれど、私は周囲の異変に気づかず気軽に返答してしまう。
別に私は怪しいことなんてこれぽっちもしてない一般市民。
「写真撮影・・・?なんだそれ?」
「なんだと言われても・・・・はっ!?この時代の人に写真撮影は通じないんだ」
再び問われ、ようやく異変に気づく。
確かに写真はこの時代にあるけれど、一般的ではない上こんな小さいデジカメはない。
とっさに辺りを見渡せば私は数人の門番に囲まれていて、すでに絶体絶命になっていた。
「すみませんでした。では私はこれで」
「怪しい女。密偵かもしれん」
「断じて違います。私は薩摩藩家老小松帯刀様の所でお世話になってる者です」
「嘘を付くな」
「即効?嘘じゃないです。・・・ほら」
これ以上騒ぎになるのを恐れなかったことにしようとしたけれど、それは許してもらえず本当のことを言っても信じてもらえない。
だから帯刀さんに貰った身分証明書を見せたのに、私に対する疑いの目は強くなるだけ。
「どこで盗んだ?それとも偽装かか?」
「盗んでも偽装でもありません。本人に書いてもらいました」
「なんの騒ぎですか?」
「はこれは宰相殿。怪しい女がうろついていたので、これから確保しようかと」
「だから私は小松帯刀様の知り合いだって」
信用されない自分を悔やみながらも門番と激しく言い争っていると、瞳の色が左右違う黒髪の温厚そうな男がやってきた。
私の野性の感が、危ないと警告している。
だけど宰相ってことは、家老の帯刀さんより偉い人。
「あなたは?」
「私は凪と言います。小松帯刀様の所でお世話になっております。疑うのなら、確認を」
「その必要はないよ」
宰相も疑いの目で私を見つめてきて私は冷静に受け答えしてる最中、背後から恐ろしい殺気と怖い声が仲裁する。
物凄い寒気が走り、速攻逃げ出したい。
「小松帯刀」
「宰相殿、確かにこの人は私の所で預かっております」
「そうですか。・・・だそうですよ」
「こ小松様の知り合いでしたか。それは大変失礼をいたしました」
あんなに私の言葉など信じてくれなかったのに、帯刀さんの言葉には疑うことなく門番達は敬礼し所定の位置へと戻っていく。
こう言うのは、いつの時代も変わらないな。
「凪くん、私は用事があるから、一人で帰りなさい」
「了解です。それでは私は帰らせていただきます」
口調は柔らかくても目でさっさと大人しく帰れと命令していて、私は取り合えず言うことを聞き急いで二人の元から去る。
でもまっすぐ帰るつもりなんて、さらさらにない。