夢幻なる絆

□番外編1
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凪、身を持って学ぶ。



「あれあの人混み一体なんだろう?ちょっと行って見よう」


ウキウキ気分で歩いていると女性だけの集団に目が付き、好奇心からその集団に乱入してみた。

女性達のテーションやたら高く、ある方向に視線を集中させている。
それは声優や作品のイベントと似たような感じで、私もその視線に合わせるがあいにく女性達の頭しか見えない。


「今日も夢の屋さん素敵ね」
「ええ、本当に惚れ惚れするわ」


そんなうっとり乙女全開の会話にますます相手が気になり、どうにかして見ようと試みる。



夢の屋。
歌舞伎とか俳優の人なんだろうか?



「ちょっとあなた押さないでよ」
「あ、ごめんなさい」


しかしそれは呆気なく失敗し、前の女性に睨まれてしまう。
まるで蛇に睨まれたようでビビったけれど、こうなるとなんとしても拝見したくなるのが好奇心と言うもの。

美形は帯刀さんで見慣れているから、別にイケメン見たさではない。




「え、嘘?あれ染めてるんだよね?だけどあんな鮮やかにどうやって?」


数分の格闘の末に拝見できた夢の屋に、私は度肝抜かれ唖然とした。


確かに夢の屋はお色気ムンムンの着物の着方をしていて、美形過ぎる整った顔立ちに流し目。
泣きボクロなんかあったりして、女性達を虜にするのもよく分かる。
ただ私は鮮やか過ぎる緑色のワカメな髪の方に、目を奪われてしまい自問自答してしまった。


帯刀さんよりすごい。


「あなた夢の屋さんに文句でもあるの?」
「いや別に。いろんな意味ですごいなと思って」
「いろんな意味?」
「え〜と、それはその」
「なんなのよ?」


そんな私の反応が気に食わなかったらしくリーダー格であろうこちらもセクシーな女性に絡まれ、窮地に立たされ受け答えに大苦戦。


いつの時代もファンを怒らすと、恐ろしいのは変わらない。


「ほら夢の屋さんがこっち見てる・・・げっ?」

天の助けか偶然にも夢の屋がこちらを向いたから女性にそう告げたのだが、その視線は明らかに私を睨みつけていた。

それはとてつもなく恐ろしく痛い視線で、嫌な汗をドッと流れますます顔が引き攣る。


ひょっとしなくても聞かれて、気分を害したとか?
夢の屋にとってそれは禁句?


「すすみませんでした」


もうここにはいられないと思った私は潔く謝り、集団から飛び出し見えなくなるまでダッシュして逃げる。


これはまさに、口は災いのもとだね。


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