夢幻なる絆

□3.居場所
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「明日は龍馬に結婚の報告してこよう。龍馬なら信じてくれて、祝福してくれるよね」

お風呂から出てるんるん気分で軽くスキップしながら、久しぶりのここの自分の部屋に向かう。
龍馬はアーネストと違って疑わないで、きっと心から祝福してくれるって私は信じてる。
なんせ龍馬はアーネストと違って、いい奴だもんね。
結局アーネストは私が帯刀さんの妻だって信じてくれたのかな?

「奥様、おやすみですか?」
「え、あはい」

梅さんに聞きなれない呼び名をさも当然かのように呼び止められ、まだ慣れない私は少々戸惑いながらも返事を仕返す。
出掛ける前までは凪って呼ばれていたのに、帰ってきたら奥様に変わっていた。
帯刀さんの妻って言うことは奥様は当然なんだろうけれど、歯がゆくて当分慣れそうにもない。
それにしても切り替えが早いとは、さすが一流の女中達である。

「そうですか。では旦那様に伝えときますね。それではおやすみなさいませ」
「・・・?おやすみなさい・・・。・・・????」

梅さんの意味ありげで受け答えに不思議に思いつつも部屋の障子を開けた途端、あまりのことにフリーズしてしまい時が止まった。
生け花と普段着用とお出掛け用の着物がある以外は何もなかった殺風景だった私が借りている部屋に、新品で高価な家具一色が置かれお出掛け用の着物も増えていてすっかり部屋らしくなっている。
一瞬部屋を間違えたと思ったぐらいの変わりよう。
でもそれだけなら驚くだけで、フリーズまではしない。
なぜならそれは、すべて帯刀さんからのプレゼントだと思う。
今までの居候生活と違って、これからはここは第二の我が家。

フリーズの原因。
それは二組の布団が間に隙間なく引かれていて、いくら私でもこれは何を意味しているのかすぐに分かる。
梅さんの意味ありげな言葉は、これを言ってたんだ。

でもあの話は、あれで終わったんじゃなかったっけぇ?
それともやっぱ初夜だから、それはしないといけない?

「帯刀さん、展開が早すぎ。・・・だけどなんか夢見てる見たい。今日から帯刀さんは私の旦那様」
「にゃぁ〜おん」
「猫ちゃん、私今とっても幸せなんだ。私みたいな女性が帯刀さんと結婚出来て、これからずーと傍にいてくれるんだよ。何より帯刀さんが私を愛してくれてるんだ」
「ニャーン」

私の傍に寄り添う猫ちゃんを抱き寄せ幸せだと告げると、猫ちゃんはちゃんと私を祝福してくれる。



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