夢幻なる絆

□3.居場所
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「・・・あれ、帯刀さん?」
「ようやく気づいたようだね。当たり前すぎることを自覚して、倒れるなんて夕凪ぐらいだよ」

目が覚めるとまずは帯刀さんのドアップが目に入り、その次に洋風の部屋が飛び込んでくる。
このアングルからして私は帯刀さんに膝枕をして貰っていて、そんでもってここは会場内の個室だろう。

「だってあまりにも幸せすぎたから・・・。展開があまりにも早すぎて、まだちょっと実感がわかないんです」
「実感ね。だったらわかせてあげても良いよ?」
「え、どうやって?」
「そんなの決まってるでしょ?私のすべてを夕凪に捧げるから、夕凪のすべてを私に捧げて欲しいって事」
「ゲホゲホ。それは遠慮します。その心の準備はまだ出来てません」

何を言いだすかと思えば世にも恐ろしい過激な誘惑に、私は飛び起き急いで帯刀さんとの距離を取る。
またしても急展開の出来事に、私の頭はついていけずオーバーヒート。
漫画にしたら、頭から湯気が立っているに違いない。

帯刀さんは変態です。
男はすべて野獣。

「まさか夕凪、初めて?」
「悪かったですね。どうせ私は帯刀さんと違って付き逢う自体初めてなのに、その工程をすべて吹っ飛ばして結婚した人ですよ」

これには帯刀さんも予想外のようで目と口を大きく開け指まで差すから、私は開き直りすべてを包み隠さず暴露する。
隠していたって、すぐにばれると思った。

いい年・・・行き遅れの女が、何も知らない処女。
処女を好む男性もいるらしいけれど、それはやっぱり若い女性限定だよね?
私みたいな女性だと、それなりに経験がないと駄目?
帯刀さんは・・・どうなんだろう?

「そんな不安そうな目で見つめなくても良いよ。私が時間を掛けて、優しく教えてあげる」
「それは結構ですと言いたいけれど、結婚した以上しないと駄目なんですよね?」
「そうだね。私も男だから」
「・・・・・」

恐れていたことは回避されたのは良いけれど、どうやら一番重要なことは回避できそうにもなくしかもその答えが妙にリアリティーがある。
きっと帯刀さんの本音だろう。

私も男・・・。

良く考えればそれはごくごく当たり前もことで、お互いに愛があれな変態でも獣でもないのかも?
逆にない方が女として恥ずかしいと思うべき?

「夕凪は初だね。はい、もうこの話は終わり。会場に戻るよ」
「そうですね」

私の答えを聞かずに帯刀さん自ら話を終わらせ次の行動に移ったため、私も頭を切り換え笑顔で頷き帯刀さんの手を握り締める。



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