夢幻なる絆

□3.居場所
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「あの〜帯刀さん、一つ聞いて良いですか」
「何?」
「どうして私とパーティーに行くんですか?お琴と行けばいいんじゃないですか?」
「どうしてそこにお琴が出てくるの?私の相手が凪くんじゃなければ、この宴に出席する意味がない」
「え・・・・」

ドレスを着せられなぜかタキシード姿になっていた帯刀さんと馬車に乗り目的地へと移動中、半分放心状態のままあんまり聞きたくなかったことを聞いてみれば返って来た答えは信じられないことだった。
帯刀さんのことだからいつもの嘘かも知れないけれど、真に受けた私は帯刀さんから視線を反らしモジモジしてしまう。

相手が私じゃないと意味がない・・・。

その台詞信じていいんだろうか?
またいつものように笑われて、冗談って言わない?

「本当に君は大馬鹿で自分勝手だよね。人の気も知らないでさんざん心をかき回した癖して、私が少しぐらい意地悪して仕返したぐらいで何も告げずいなくなるなんて卑怯だよ」
「私そんなに帯刀さんに迷惑掛けていたんですね。すみません・・・」

そんなことを私なりに真剣に考え見極めようとしていると、いきなり帯刀さんは私を貶し冷たく貶し怒り出す。
せっかくこうやって逢えたのに、私は惨めだった。

やっぱり帯刀さんは、私に意地悪してたんだ。
これもお金を掛けたたちの悪い悪戯で、浮かれている私を楽しんでいるだけ。
私が帯刀さんの隣にいて、良いはずがない。

「なら教えてあげる。凪くんにも分かるように、ハッキリとね。でもそしたら覚悟を決めて、絶対に言うことを聞かないと駄目だよ。はいしか認めないから」
「・・・・・」

どこかの魔王が吐く命令形の台詞に、私は怖かったけれどゆっくり深く頷く。
こんな苦しい思いをするなら、怖くてもまだ失恋した方がましである。
無意識に手に力が入り、目を強く瞑ってしまう。
たった数秒の沈黙が、長い沈黙の沈黙に思えてくる。

それでもやっぱり私は、帯刀さんの気持ちが知りたい。


「凪くん、私とここで結婚しなさい」


「・・・はい?」

ストレートすぎる帯刀さんのプロポーズに、私は何が起こったのか分からず放心状態陥って帯刀さんの顔をマジマジ見つめた。

一体今、何が起きたの?
結婚ってなんだっけぇ?
プロポーズってなんだっけぇ?
美味しい食べ物ですか?
それとも地名か何か?
私にはまったくもって、分かりません。

それはあまりにも私とは無縁な言葉だったため、軽い現実逃避が起き頭を悩ませる。
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