夢幻なる絆

□3.居場所
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「本当にこの雪だるま帯刀とそっくりだな」
「うん、そうだね。ちゃんと特徴を良く捉えてるよ。・・・本人に見せたら、怒られそうだけどね」

縁側で雪だるまを観賞しながら、甘酒を飲み自己満し合い笑い合う。
私も龍馬も子供のように雪だるま作りに夢中になっていたから、いつの間にか後少しで日が沈む。
だからなのが雪が夕日に反射して、宝石みたいにキラキラと輝いている。

こんな景色帯刀さんと一緒に見られたら、ロマンティックだろうな。
だけどきっと明日も忙しくて、そんな暇なんかないよね?
・・・寂しいな。

「凪、やっぱり無理してるだろう?」

そんな私の少しの異変に気づいたのか龍馬は、私の顔をのぞき込み再び問われてしまった。
私がそうされると弱いことを知っているからやって来るのであり、それだけ私のことを親身になって心配してくれている証拠。

「してないって。大体帯刀さんって前からいつも忙しそうだったから、私の事なんてたまにしか相手してくれなかったもん」
「俺帯刀のことなんて、一言も言ってない」
「・・・あっ、そうだよね・・・」

それでも私は強気なことを言って本音を隠そうとしたはずが、見事な墓穴を掘ってしまい私の顔からサッと笑顔が消えた。
嘘も隠すのも下手な私は、これ以上隠し通せる頭脳は持ち合わせていない。

「凪って変な所で、強情だよな?正直に思ってることすべて帯刀に言えばいいだろう?」
「・・・龍馬は強いよね?お嬢って言う人と何年も逢えなくたって、平気でいられるんだもん」
「悩んでるのはそれか。そればっかりは、難しい問題だな」

親切を踏みにじり私は生意気に酷いことを言ったのに、龍馬は怒らないどころが私が悩んでいるのを知ったらしく頭をかき困り悩み出した。

龍馬は昔江戸で剣術の修行をしていた頃に先生の所にいたお嬢って言う人と出逢い、しばらく経ったある日目の前で雪のように消えたと教えてもらった。
その時彼女は縁があればまたいつかどこかで出逢えると言ったみたいで、龍馬は今でもその言葉を信じている見たい。
数ヶ月前に再会したらしいけれど、他人のそら似らしいのか龍馬のことはまったく覚えていなかったようだ。
それでも龍馬はいつでも明るくて前向きで、落ち込んでいる所なんて見たことがない。
少しでも逢えなくなることに脅えている私とは大違いだ。

「私は龍馬見たく強くないし、超が付くほどワガママなの。いくら私と帯刀さんが愛し合って・・・ううん愛し合っているのにどうして離ればなれにならなきゃいけないの?」
「・・・凪」
「私もう帰りたくない。ずーとずーと帯刀さんの傍にいたい。私の居場所はここなの」

頭のネジが一本はずれたのか悩んでいたことをすべてぶちまき、涙がどっとあふれ出し小さくうずくまり泣いてしまった。



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