夢幻なる絆

□3.居場所
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「何か取り乱しちゃって、毎度毎度ごめんね。私馬鹿みたいでしょう?」
「そんなことないぜ?俺の方こそ、変なもん見せちまってすまないな」
「龍馬は知らなかったんだから、しょうがないじゃん。だからもうこのことはお終い。それより庭で雪だるまを作ろうよ」

しばらくして落ち着きを取り戻した私はいつものように馬鹿っぽく戯け、気まずそうな龍馬の手を持ち明るく言いながら銀世界の庭に出た。
ふかふかの雪で冷たくて気持ち良い。

いつまでもクヨクヨしてるなんて私じゃないし、こうしないと泥沼にハマって抜け出せなくなりそうだったから。
だから私はいつもの私に戻る。
本当はまだ怖いけれど、私は一人じゃないからきっと大丈夫。

「凪・・・。そんなに無理することないんだぞ?」
「そんなに無理してないから大丈夫だよ。だからね」
「・・・わかった。だったら帰ってきた帯刀が驚くぐらい、大きな雪だるまを作るか」
「うん、大賛成。帯刀さんの雪だるまにしようよ」

私の心の奥を知っているかのように一度は心配されるけれど、私は再びそう言うとようやく龍馬の顔にも笑みが戻り巨大な雪だるまを作ることになった。

私の気持ちを察してくれたんだね。
いつもありがとう龍馬。

「面白そうだな。なら最初にどっちが早く雪玉を作るか競争だ」
「よ〜し負けないから。・・・あれシロちゃんがいない?」
「そう言えばそうだな。どこ行ったんだあいつ?」

いざ雪だるま胴体競争になりシロちゃんにも手伝ってもらおうとした物の、縁側では猫ちゃんが気持ちよさそうに眠っているだけでシロちゃんがいないことに気づく。
ついさっきまで私の傍にいたと思ったのに、辺りを懸命に見回してもシロちゃんはいない。
龍馬にも心当たりがない様子で、頭を傾げ不思議がる。

「散歩にでも行ったのかな?」
「一人でか?」
「うん。シロちゃんだって、きっと一人になりたい時もあるだろうしね」
「あいつがか?でもまぁあれでも神様だから、ほっといても大丈夫か」

気楽に考える私の言葉に眉を曲げ不思議そうに声を上げる龍馬だったが、最終的にはそう言うことになり龍馬もそれ以上は心配することはなかった。

無責任って思われるかも知れないけれど、龍馬の言う通りシロちゃんは神様。
力が弱くても気を敏感に感じることが出来るし、心だって読み取れる。
それに私見たく馬鹿でもドジでもないから、一人で行動すれば危険はないだろう。
むしろ私と一緒に行動した方が危ないかも・・・。



そして私と龍馬は計画通り、帯刀さん雪だるまを作った。
目つきが悪いけれど、本人にそっくりな雪だるま。



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