夢幻なる絆

□3.居場所
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「な何言ってるの?シロちゃんはこんな可愛いんだよ。白虎はお札でしかも強力な呪詛が掛けられるんでしょう?」
「まぁな。帯刀から聞いたのか?」
「そそんな所。ほら私帯刀さんの正妻だし、夫婦の間に隠し事があったらまずいでしょう?」

何度か上手い具合に誤魔化せそうな雰囲気になり、調子良いことを言って龍馬に話を合わせる。

本当にそんなことあったらまずい。
・・・って言うか、私が帯刀さんに隠し事が出来るわけがない。
うん、絶対。

「それなのに帯刀不気味がって、普段は箱に入れっぱなしでよ。俺見たく肌身離さず持ち歩けっていつも言ってるのによ。凪からも言ってみてくれないか?もし私が白虎に襲われたら、どう責任取るの?って脅せば一発だな」
「・・・だからあんな所にいたのか・・・。龍馬も四神のお札を持ってるの?」
「まぁな。俺のは青龍だ。ほら」

−タスケテ

私の軽はずみで好奇心ある聞き方が悪かったのか、龍馬は懐から札を取り出し頼んでもいないのに私に見せてくれた。
親友で私を信用してくれているからこうやって見せてくれるんだろうけれど、事情が事情なだけに素直に喜べない。

シロちゃんの時と同じように、青龍も苦しんで助けを求めている。
私がきっと札に触れれば、呪詛は解かれて楽になるんだろうね。
そしたら青龍も、愛らしい姿に変わるんだろうけれど・・・。
でもそしたら私はまた生死を彷徨う。
帯刀さんとの約束もあるし、何よりまた長い時間帯刀さんと会えなくなるのが辛い。
もし今度目覚めたらあの家だったら私は・・・。

「ごめん、青龍。これは全部私のワガママだけれど、私にはあなたを救えない」

−タスケテ

「辞めてそんな声で、助けを求めないで」

否定しても再び同じ台詞が聞こえてきて、私は耳を押さえそれに脅えた。
涙が溢れ出し怖くて堪らない。
痛いほど苦しみが分かるのに、私はまだ自分を優先してしまう。
私はやっぱり自分勝手な最低な人間。

「坂本龍馬。早くその札をしまえ。凪の心をこれ以上苦しめるのではない」
「!!。お前、やっぱり白虎だな」
「ああ、そうだ」

そんな私を見かねたシロちゃんは正体がばれるのを恐れず、龍馬に牙をむき私なんかを守ってくれる。
そしてあっさり龍馬にばれてしまう。

私なんて守る価値なくて、むしろ仲間の青龍の力を守るべき。
なのにシロちゃんは私を守って庇ってくれる。
どうして?

「一体どうなってんだ?白虎は呪詛が・・・」
「凪に払ってもらった。彼女にはそのような能力があるが、あまりにも代償が大きくその能力を使うのを小松帯刀が禁じてる」
「代償?あっ・・・そう言うことだったな」

夫婦の秘密はシロちゃんによって綺麗さっぱりなくなり、それを聞いた龍馬は要領よくすべてを理解し札を懐にしまう。



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