夢幻なる絆

□3.居場所
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「夕凪、何のんきに笑ってるの?白虎には呪詛が掛けられていて、術者はただではすまされない」
「ごめんなさい。でも白虎の呪詛は私が取り除きましたよ。ただそのせいで、こんな愛らしい姿になってしまいました」
「気にするでない。この姿でなら、我はそなたの傍にいられる」
「その姿で妻を口説くのは辞めなさい。・・・確かに白虎の呪詛は消えてるらしいね」

笑っているにがバレ私に飛び火して怒られるのけれど、それは私の体の心配をしてくれる優しさ。
そんな優しさに嬉しくなって私は一先ず謝りそれから真実を言うと、ようやく白虎が正常であることに気づいたらしい。
ただ白虎のせいで、別の意味でまだ機嫌が悪い。

「だから白虎に触っても大丈夫なんです。この白虎とっても可愛い・・・え?」
「夕凪?」

帯刀さんから白虎を返してもらおうと恋愛感情がまったくないことを言いかけた時、頭の痛みを感じそして胸も苦しくなって布団に倒れ込む。

私どうしちゃったんだろうか?

「穢れだな。我の呪詛をまともに喰らい払った。・・・すまん」
「謝って済む問題ではありません。夕凪しっかりしなさい」
「苦しい痛い。私死んじゃうのかな?」

今まで感じたことのない激しい痛みと、息をするのもまなならない苦しみ。
怨霊に襲われた時ぐらいの、死の恐怖が私を襲う。

私はまだ死にたくない。
せっかくこうして大好きな人と結ばれて、女性としての幸せをつかみ取ったんだもん。
帯刀さんの傍に、これからもずーといたいよ。

「それはない。そなたには微少だが呪詛を体内で浄化する能力も備わっている。数日生死を彷徨うことになるが、死ぬことはなかろう」
「あなたは馬鹿?それでいいわけないでしょ?夕凪の苦しみを少しは考えなさい」
「そうだったな」

苦しみと痛みが増し傍にいる二人の声が遠くなっていくほど意識が朦朧として行く、でも帯刀さんに抱きしめられていることだけは分かりほんの少しだけ心に中が暖かくなっていく。
それは太陽の日差しみたいな優しい暖かさ。
帯刀さんが傍にいることが分かって、痛くても苦しくてもなぜだか安心出来てホッとする。

「・・帯刀・・さん、ごめん・・なさい・・。また・・お預けに・・なっちゃったね」
「そんなことは、どうでも良い。夕凪」

最後の力を振り絞りそれだけを言うと、帯刀さんは優しくそう言ってくれ私の頭をなぜてくれる。

そして私は意識をなくす。



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