夢幻なる絆

□3.居場所
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「さよう」
「きゃ〜、可愛い」

見てるだけでは物足りなくなり神様だということを忘れた私は、考えることもなく白虎に飛び付きギュッと抱きしめる。
最高の抱き心地に、大きさもちょうどいい。
私可愛い物大好きなんだよね。

「これは大胆な歓迎だね。夕凪はここの屋敷で働いている者か?」
「違うよ。ここは私の家。主は私の旦那様」
「あれの?」
「帯刀さんを知ってるの?」
「まぁな。あれは我が守護する者」
失礼な態度を取る私を白虎は怒ることなく、私に抱きしめられたまま問いを快く答えてくれる。






「所で白虎はもう苦しくないの?」
「ああ、我の呪詛は払われた。そなたのおかげ」
「そうなんだ。私にもそんなすごい能力があったんだ」
「ただしそなたの力は穴だらけ。呪詛を払えても、相手の能力を半減させてしまう。実際我も今はこの姿になれる力しかない。元の力を取り戻すまでには時間が掛かるだろう」
「わ私らしい中途半端な能力・・・」

白虎を自分の部屋まで連れ込み布団に寝っ転がりながら仲良く会話中、初めて知った自分の能力が速攻で使えない物だと分かり苦笑する。
一瞬でも帯刀さんの力になれるかもって喜んでいた自分が、なんだか恥ずかしくて馬鹿らしかった。
良く考えれば私がそんなすごい能力が備わっているはずがない。

「それでも我はそなたに感謝して・・・」
「夕凪!!」
「あれ、帯刀さん?どうしたんですか?」

血相を変えたらしくない帯刀さんが私の名を呼んだかと思えば、ボケッとしている私から白虎を奪い取った。
そして首根っこを掴み、あろう事か神様を粗末に扱う。

「放せ、放せ。小松帯刀」
「駄目。あなたは大人しく札でいて下さい。私の妻にこれ以上手を出したら、いくら神だろうとも札に戻り次第破り捨てますよ」
「なぜだ?我は夕凪に何もしていない」
「しています。あなたがこうしているだけで、妻の寿命が縮みます」
「失敬な。我を怨霊と一緒にするでない」
「怨霊よりたちが悪い」

その予感はズバリ的中二人の口喧嘩は徐々にエスカレートし、私のことで激しいバトルが繰り広げられる。
完全にキレている帯刀さんと、帯刀さんから逃れられなくそれでもばたつく白虎。
その光景はあまりにも微笑ましくって、つい顔がほころんでしまう。

この二人って案外名コンビ?



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