夢幻なる絆

□3.居場所
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「夕凪、私は後少し政務が残っているから、先に部屋へ戻ってなさい。すぐ行くからけして先に寝たら駄目だよ。たたき起こすから」
「・・・わ分かってますよ。今夜は大丈夫です・・・」
「本当だね。ならこれはご褒美」
「・・・・・・」

子供のようにそう言いつけられ私は顔を真っ赤にさせながらも頷けば、今ではお決まりとなったキスを交わし帯刀さんは自分の部屋に入っていった。
私も言われた通り、夢心地気分で自分の部屋に向かう。




−タスケテ

「え、声?」

突然苦しそうな男性のとても小さな声が聞こえたので立ち止まり、辺りを見回してもそこには誰もいない。
不思議に思いながらも、声が気になり耳を澄ます。

−タスケテ。クルシイ

再び同じ声が、入ったことがない部屋から聞こえてくる。
帯刀さんに入ったらいけないと言われている部屋はなかったので、中に入ると特に変わったとこもない普通の部屋。
けれど机の上の何かが、赤黒い不気味な光を放っていた。
明らかに妖しい物でこう言う時はスルーするのが一番いいのに、私はそれが気になり恐る恐る近付いてみる。

「助けを求めているのは、あなたなの?」

−そなたは我の声が聞こえるのか?

「うん、聞こえるよ。私は夕凪。あなたは?」

−我は白虎。

「白虎?って四神聖獣の?」

−いかにも。・・・うっ。

話し掛けると意外にも返答してくれ少し会話をする物の、白虎の声はまた苦しみ始め会話は途切れてしまった。
ここに来て怨霊に襲われたり髪色が多彩だって知ってからと言う物、こう言うのに馴れてあまり驚かなくなっている。
なんとかしてあげたいと思っても、なんの能力も持たない私には何も出来ない。

「・・・帯刀さんの所に持って行けば、なんとかなるかも。白虎、待ってて」

一つの解決方法を見つけだし、私は光の中に手を入れると紙の感触を感じた。
どうやらこれが光を放つ根源。
だから私は紙を取ろうと触れた瞬間不気味な光は私の中へと吸い込まれ、今度は白い光を輝きだし煙となる。

そして

「ありがとう、夕凪。しかしそなたの能力は・・・」
「え、白虎?」

煙の中から白虎の声がしたと思えば、煙の中から姿を現す。

ホワイトタイガーの赤ちゃんだった。
大きく可愛らしい瞳に、ふあふあモコモコの毛並み。
なのになぜか声だけが、やたらに色っぽい男性声。



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