夢幻なる絆

□3.居場所
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「小松さん、凪さん。ご結婚おめでとうございます。本日はお招きいただきありがとうございます」
「あれアーネスト?」

なんとかドジすることもなく終わり我が家での披露宴の席で、式場では見かけなかったアーネストにお祝いの言葉を言われ驚く。
帯刀さんがいるからなのか、爽やか過ぎる王子様スマイルだけれど、裏を知ってしまった以上不気味でしょうがない。

本当に私はこの人に、祝福されてるのだろうか?

「披露宴は夕凪が緊張しないように、私の心知れた人しか呼んでいない。サトウくんは夕凪の憧れの人だから、無理を言って披露宴だけは来てもらったんだよ」
「それはありがとうございます。アーネスト忙しい所ごめんね」

帯刀さんの優しさに満ちた配慮にウルッと来そうになりつつ、お礼とアーネストにも感謝した。

確かに帯刀さんは式の間中、私を気にしていてフォローもしてくれたよね。
だから私はドジを踏まなかった。

「いえいえ。それにしても凪さんは変わってますね。異人の私になんの偏見を持たないなんて」
「そう?私別に異人だからって偏見持たないよ。人柄を見て偏見持つけどね」

いきなりのアーネストの意外そうな問いに、私は真実を隠しながら簡単に答えニッと笑う。

幕末では外人と言うか白人は、外見だけで切り掛かる輩が多かったらしい。
まぁ三百年近く鎖国をしていた所に、いきなり凄い武器を持った人達が来たんだから無理もないのかも。

「私は貴方を少し見くびっていたかも知れません。さすが小松さんが認めた人です」
「そこまで褒められると照れるな」

やっぱり私はアーネストに見くびられたのかと確信しムッともなる物の、最後のこれ以上もないぐらいの誉め言葉に恥ずかしくなり頬をかく。
もしかして性格が悪いアーネストのことだから裏があるかも知れないけれど、それでも私は本当に嬉しい。
そんなこと一生言われないと思っていたから。

「照れなくても、真実なんだから堂々してろよ。な、帯刀?」
「そうだね。事実私は沢山の女性達から、こうやって夕凪を選んだ。女性としての魅力は劣るけど、夕凪は他の女性に持ってない個性的な魅力を沢山持ってるからね」
「うっ・・・それ微妙な誉め言葉ですけど・・・」

そこへ龍馬もやって来てアーネストの言葉を正当化してくれたけれど、帯刀さんは否定せずにアメとムチ的な真相を開かす。
いかにも帯刀さんらしい劇甘コメント。

帯刀さんは物好きだったんですね?
だから私を愛してくれた・・・。

それでも愛されているから嬉しいけれど、それと同時にせつなくもなり知りたくない真相だった。



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