夢幻なる絆

□3.居場所
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「嫌です。帯刀さんは私だけの者です。誰にもあげたくない」

途端に込み上げて来た嫌な感じに心が支配され、帯刀さんの胸元をきつく掴んで子供見たいなわがままを言ってしまう。
でもそれは紛れもなく私の本心で、お琴が側室になるって想像しただけでもいやだった。

そんなことになれば、いくら私が正妻でも私の居場所はなくなる。
若くて美人のお琴に、私が勝てるはずがない。

「夕凪・・・。それ分かって言ってるの?」
「え?・・・帯刀さん?」

てっきりいつものようにバッサリ切り捨てられるかと思いきや、なんとあの帯刀さんが頬をほんのり赤く染め口を押さえ照れている。
初めて見る姿に私の暗い気持ちは吹っ飛び、驚き首をかしげ帯刀さんを見つめた。

私なんか変な事言った?

「そう言う男心を揺さぶるようなことは、床に着いた時だけにして欲しいね?」
「え、べ別に私はそう言うつもりで、言ったんじゃありません」
「知ってる。夕凪のことだから、本能のままに言ったんでしょう?でも男にしてみれば、そう言う意味を示してるんだよ」
「すみません・・・」
「分かればいい」

言われていつものようにようやく自覚をした私は、自分の無知さにことごとく嫌になり穴があったら入りたかった。
だけどそれは私の正直な気持ちでもあるため、あやふやになってしまうのに複雑な気持ちも抱く。

この時代の正妻達は、側室のことを良く許せたと思う。
それが当たり前だったから、許すことが出来たの?
それとも許せなくても、奥さんには選択権がなくいから仕方がなかっただけ?
どっちにしたって、現代人の私には許すことなんてできない。

「・・・でも私やっぱり・・・」
「まったく。そんなに私が信じられない?」
「え?」
「君が知っている小松帯刀は愛妻家だったんだよね?」
「だけど側室もいました」
「・・・・・。だったらこれでどう?」

墓穴の穴を掘ったのか罰の悪そうな顔に変わり一瞬の沈黙の後、帯刀さんはそう言い壁に私を押しつけさっきとは比べようがないディープキスをくれる。
それは熱く深いとろけちゃいそう甘いキス。
息が出来ないのになぜか苦しくなくって、それでいていつまでもしていたい。
昨日以上の帯刀さんの深い愛が、伝わってくるような気がする。

・・・帯刀さんも私と同じ気持ちだって想ってくれてる?

・・・私の思い込みじゃないって、信じでもいいんだよね?



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