夢幻なる絆

□3.居場所
10ページ/27ページ



「旦那様、奥様の支度が整いました」
「そう。それで夕凪は少しは綺麗になった?」
「ええ、とってもお綺麗ですよ」

着替えだけではなく化粧やカツラまでやって貰いお姫様気分を満喫している私は梅さんと一緒に帯刀さんの待つ部屋までやって来て、まず梅さんが部屋に入り帯刀さんにそう報告しているのを渡り廊下で待っていると

「お前凪か?」
「え、あ龍馬。久しぶり、元気だった?」

龍馬に話しかけられ視線を向けると、頬をほんのり赤く染めた龍馬が目を大きく開け私を見ている。

「ああ。凪、見違えたな。綺麗だぞ」
「えへへ、ありがとう。龍馬もいつもと違って、羽織袴なんだね?格好良いいじゃん」
「ありがとうな。親友の婚礼式だからな。おめでとう、良かったな凪?」
「うん!!」

前回の大騒動を知っていて龍馬だからこそ言える最大の祝福に、私はますます笑顔になってい上機嫌になっていく。
私の予想通り龍馬は疑うことなんてなかった。

「二人とも騒がしいよ」

そんな中障子が開き烏帽子に直垂姿の帯刀さんが出てきて、私達の会話をため息交じりで仲裁する。

「帯刀さん、格好良すぎです。ちょっと目に毒かも・・・」

その姿は鼻血寸前物で、私は視線を泳がせる。
ただでさえ魅力十分で輝きまくっているのに、今はさらに眩し過ぎて直接見たら火傷しそうだった。

魅力も色気も兼ね備えている帯刀さん。
まだすべてに慣れるまで、時間が掛かりそう・・・。
慣れるまで恋人でいた方が良かったかも?


「夕凪、綺麗だよ」

そんな私を帯刀さんは許さず耳元で囁き、龍馬がいる前で私の唇をそっと塞ぐ。
まだ想いが通じてから一日も経ってないのに数え切れない程して、すっかり馴染んでキスをしてくれると恥ずかしいけど落ち着ける。
昨夜だって・・・。

「なんか俺邪魔みたいだから、また後でな」

性格の割に意外と空気が読める龍馬は、そう言って逃げるようにその場を去っていく。
梅さんなんかすでにどこにもいない。

「今回は馬子にも衣装って言わないんですね」
「言うはずないでしょ?夕凪は私の愛しい妻なんだよ」
「私も帯刀さんは愛しい旦那様ですよ。私がいない時に浮気なんでしないで下さいね」
「それは夕凪の心掛け次第。場合によっては、すぐに側室をもらうよ」
「・・・・・」

冗談のつもりで気軽に聞いたはずなのに、帯刀さんお得意のばっさりと衝撃なことを言い捨てられてしまった。
それは帯刀さんにとって当たり前のことでも、私にとっては大ショックで辛い現実。

幕末はまだ一夫多妻制。
何人も妻を取っても、浮気ではない。
そしたら忠実通り、お琴を側室にするのかな?



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ