夢幻なる絆
□2.高嶺の花
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「凪の話は本当に興味深くて面白い。しかも俺と馬が合いそうだ」
「私もそう思う。龍馬と話してると楽しいし」
帯刀さんの時と同じように未来のことを語ることしばらくして、私と龍馬はすっかり打ち解け帯刀さんと西郷さんをほったらかしで会話に花が咲いていた。
まるで昔からの友達と話しているようで、きっと私達仲の良い友達になれる気がする。
もちろんそれ以上の発展はないけどね。
「龍馬・・・ね。そんなに楽しいんなら、これからは龍馬に面倒見てもらったら?」
「え?」
気のせいだと思うんだけれど少しだけ機嫌の悪い気がする帯刀さんが、いきなりそんな冷たいのある言い方で私達の会話を中断させる。
いきなり何?
それって出て行けってこと?
「御家老?」
「帯刀、いきなり何言い出すんだ?俺が凪の面倒見るって言っても、たいしたことは出来ないんだぞ?」
「帯刀さん、私のこと邪魔なんですか?」
龍馬も西郷さんもこんないきなりの展開に戸惑い、私は超思い当たることを不安げに問う。
やっぱり帯刀さん私が邪魔になったから、二人のどちらかに押し付けるためにこの宴会を企画したとか?
思い当たる節があり過ぎて、何が原因か分からない。
私いつも帯刀さんに迷惑掛けてるし・・・。
「そうだよって言ったらどうする?出て行ってくれるの?」
「そしたらお手伝いさんとして、私を雇って下さい」
「間抜けで揉め事ばかり起こす君に、一体何が出来るって言うの?」
「うっ・・・。私帯刀さんに見捨てられたら、生きて行けません。頑張りますからお願いします」
きついお言葉ばかり言われても、私は必死になってお願いする。
でも帯刀さんは私のことをよく知っているため、どんどん自分の立場が危うくなるだけだった。
図星なだけに、ますます帯刀さんに捨てられるわけにはいかない。
「・・・冗談だよ。ちゃんと今まで通り、面倒を見てあげるから」
ようやくいつもの帯刀さんに戻り、クスクス笑いながらそう言った。
怒るべきことなんだろうけれど、怒りよか喜びの方が大きく体中から力が抜けホッとする。
これで私は餓死しなくてすむ。
「・・・まさか御家老がな」
「え、なんだい西郷?」
「いえ。なんでもありません」
そんな様子を西郷さんは苦笑し何がら何かを小声で呟くが、帯刀さんの鋭い聞き返しになぜか否定するのだった。