夢幻なる絆

□2.高嶺の花
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「凪くん、静かにしなさい」
「あはい。あまりにも衝撃な事実に驚きましてつい」

帯刀さんのなんとも言えない声で我に返り、一応弁解し帯刀さんの背後に隠れる。

でも内心やっばり信じられなくて、まだ平常心を取り戻せない。
土佐弁で有名な坂本龍馬が実は標準語だって言ったら日本中驚くだろうし、西郷隆盛が外人って言ったら一大事だろうな。
だから写真を拒否って、別の人に頼んだのだろうか?

「へぇ〜、未来では龍馬が土佐弁ね。ちなみに西郷はれっきとした日本人だよ」
「え、うそ?あんな金髪なのに?」
「凪くん、未来では外見だけで人を判断するの?だとしたら君は最低だね」
「う・・・すみません。考え方を改めます」

静かにしろと言われた癖してすぐ人目を気にせず騒ぎだすと、帯刀さんは軽蔑するような眼差しで私を見つめ痛いとこをズバッと言われ反論不可となる。

確かに私が今言っていることは、最低な差別。
緑髪がいるんだから、日本人の金髪がいたって可笑しくない・・・はず。

「おい帯刀。俺達にも分かるように説明しろよ?」
「凪くんは未来人で、うちに居候していてね」

呆気に取られていた龍馬がようやく口を挟んで問うものの、普通なら隠す真実を当然のようにサラリと答えてしまった。
言うまでもなく絶句する龍馬と西郷さん。

「み未来人?それ本当なのか?」
「いくら御家老のお言葉であっても、そう言うことは信じられません」
「そりゃ私も最初は信じられなかったけど、彼女の予言はおおよそ当たってるし何より嘘を付くのは下手だからね」

案の定すぐに信じてくれるはずがなく疑いの目を向けられるけど、多少トゲがある物の帯刀さんが加勢してくれる。
トゲがあるのはいつものことだから今回は腹が立たず、味方してくれて嬉しかった。

私のことちゃんと信用してくれてるんだね。
だったら私も帯刀さんを、信用しないといけないね。

「・・・未来って言っても、何年先から来たんだ?」
「約百五十年先。私は歴史が好きなのでみなさんのことはよく知ってます。有名人ですからね」
「そんなに有名なのか?」
「はい。銅像が建ってますし、学・・寺子屋で習います」
「へぇ〜、それは興味深い話だな。いろいろ聞かせて貰おうか?」
「はい、もちろんです」

ちょっとだけ前向きになって考えてくれるようになった龍馬の問いを、私はしっかりハッキリ分かりやすく答える。

信じてもらわないと、何も始まらない。


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