夢幻なる絆

□2.高嶺の花
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「あ、私・・・」

泣き疲れていつの間にか寝てしまったのか朝の日差しで目が覚めると、そこは幕末の私の部屋ではなく元の世界の私の部屋だった。

私は元に戻ってきたんだろうか?
それともやっぱりあれはただの夢?
・・・・・・・・。

「・・・これ帯刀さんに貰ったかんざし。じゃぁやっぱりあれは現実なんだ」

前回と同じようにまた夢だと思い込もうとした時、手に握り締めているかんざしに気づきその考えを捨てた。

私は本当に幕末にタイムスリップして、小松帯刀に拾われた。
そしていろんなことがあって、恐れ多くも帯刀さんを好きになった。
だけどその気持ちに気づいた途端、すぐに未来の奥さんと出会って失恋確定。
どうせ最初っから失恋決定だったんだから遅かれ早かれ同じことなんだけれど、せめてもう少し幸せな時を過ごしたかったな。

・・・でも本気で好きになる前に、こうなって良かったかも知れない。

帯刀さんに気づかれてバッサリ振られたら、いくらお気楽な私でも立ち直れないもん。
向こうの世界なら龍馬がそんな私を慰めてくれるかも知れないけれど、こっちの世界にはそんな人一人もいない。
自力で立ち直るしかなかった。

だからきっとこれで良かったんだ。

「今ならすぐに立ち直れるもん。きっと次会う時は、お琴と結婚してるんだろうな。・・・そしたらそこには・・・私の居場所あるのかな?」

くよくよしてるなんて私らしくなくって気合いを入れて明るくそう言い起きて見た物の、ふっと押し寄せる大きな不安にまた胸が締め付けられ大粒の涙が流れ床に次々とこぼれ落ちた。

「あれ、涙が止まらない」

拭いても拭いても涙は溢れて余計悲しくなるだけで、再びベッドに顔を伏せどうにか心落ち着かせようと努力する。
だけど涙はそう簡単には止まらず深みにどんどんハマっていくだけで、どうにか自分がなりそうですごく怖かった。

これが失恋の痛み・・・。

想像以上にそれは、痛くてきつい物。
初めて体験した私には、対処する方法が分からない。
だから私は恋することを恐れていたのに、結局こうして気づいてしまった。

どうやら私は自分でも気づかない間に、どうしようもないぐらい帯刀さんのことが大好きだったらしい。

ううん、今も大好き。


・・・逢いたいよ帯刀さん。

今度はいつあなたと逢えるの?



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