夢幻なる絆

□2.高嶺の花
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「帯刀さん、今日も龍馬の所にいってきます」

といつものように帯刀さんの部屋の前を通り抜ける時、私は足を止めず何気なく伝え玄関まで直行する。

「いってらっしゃい。走ると転けるよ」
「分かってま・・・え?」


ドッシャン


ほんの一瞬だけ視線を反らした途端、角から人が出て来て正面激突してしまった。

またやっちゃった。

「すみません。大丈夫ですか?お手をどうぞ」
「あ、ありがとうございます。私の方こそすみませんでした。!!」

紳士のような相手の差し延べられた手を取りその紳士を見た瞬間、私は頬を赤く染め紳士を呆然と見とれてしまう。
心臓も見る見るうちに高鳴っていく。

金髪はサラサラで宝石見たいなエメラルドブルーの瞳。
肌も色白く気品溢れるばかりの顔立ち。
服装はこの時代にしたら珍しい洋服。
まるで絵本から飛び出した王子様のよう。

すみません。
私好みど真ん中です。

もちろんその好みって言うのは、あくまでも憧れ・ファンレベル。
恋愛感情とはまったく別の話である。
ここまで外見が完璧だと、逆に恋愛感情は持てない。

「あの私の顔に何か付いています?」
「凪くん、君には学習能力と言う物が、備わってないわ」
「どこの誰だか知りませんが、ファンになっていいですか?」

戸惑い苦笑して私に尋ねる紳士と部屋から出てきて小言を言う帯刀さんに構わず、私は勢い余って紳士の手を握りしめ軽い気持ちで大胆発言をする。

「え、あなたは?」
「私は島崎夕凪。気軽に凪って呼んで下さい。ちなみにあなたのお名前は?」
「私はアーネスト・サトウ」

完全に私のペースになり、紳士はドン引きしつつも名前を教えてくれた。

アーネスト・サトウ。
イギリスの若き有能な外交官で通訳者。
ここに来たって言うことは、薩英同盟の打ち合わせってとこかな?
この二人なんか仲良かったらしいしね。

「アーネストさんの噂は兼がね聞いてます。まさかここまで格好いい人だとは思いませんでした」
「あありがとう」


ゴツン


「凪くん、こっちに来なさい。サトウくん、すまない。すぐ行くから、広間で待ってて」
「分かりました。あの彼女は一体?」
「馬鹿なドラ猫だから、すぐに忘れて」
「酷いですよ。帯刀さん」

楽しい会話だったのにいきなり帯刀さんのゲンコツを喰らい、アーネストさんに酷いことを言い私を強引に引きずられて行く。

「It is the stupid cat of the boor」(確かに礼儀知らずのバカ猫だ)



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