夢幻なる絆

□15.遙かなる時空の中で
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「帯刀さん、将軍様にデタラメなことを言わないで下さい」
「私は真実しか言ってないよ。妻の料理は私にとってどんな高級料理よりも美味しい。何せ私への愛情が惜しみなく使われてるからね」
「それはそうですけれど」

帰宅して着替えが済み帯刀さんがやって来るなりさっそくさっきの事を注意するけれど、予想通りまったく悪気がなく正当化され抱き締められる。そうされると何も言えなくなってしまう。
帯刀さんの懐は暖かいし溢れるぐらいの愛情が実感できるから。
これから梅さんにもっと料理を教わって腕をあげておかないと、そのうち私の料理目当てに飛んでもない人が来て恥をかきそう。

「まぁ一番はこの妻の味だけど」
「!!」

何を思ったのか愉快げにそう言ったかと思えば、首筋に刺激を感じると押し倒される。

もうすぐ夕食なのにそう言う展開ですか?
なんて言ったらまた

夕凪は私への愛情が足りない。花より団子だ。

何て言われるから黙っておく。

・・・私も好きだから良いけど。




「ねぇ夕凪、私がもし死んだら、子供を一人で育てていける?」
「絶対に無理です。そんなことになったら迷わず私は死を選びます。だからそんな意地悪言わないで下さい」
「分かった。なら私は夕凪が死ぬまで生き続けて傍にいると約束するよ」

仮の話でもそんな話をなんで突然されたか分からなく、聞いた瞬間パニックになり涙が溢れ止まらなくなる。
もう私は二度と帯刀さんの亡骸なんて見たくない。
ワガママだけど、それはどんな例外もない。
すると帯刀さんは難しい約束なのに、自信を持って断言してくれ約束の深い口づけをくれる。
確実に何かあったんだ。

「帯刀さん、何かあったんですか?」
「黒麒麟の居場所が分かって、少し弱気になっていただけ。でもあまりにも夕凪が危なっかしい以外に頼りないのも分かったから、そんな妻を残していけないって確信したよ」
「そうだったんですね?頼りない妻ですみません」

やっぱりそれにはちゃんと理由があって本当ならば安心させないといけないのに、私は本当に頼りないし情けない妻失格。
帯刀さんだから前向きに考えてくれるけれど、普通の人だったら愛想をつかされてしまう。
そんな帯刀さんだから、こんなに愛して依存してしまった。

「いいよ。いつも言ってるけれど、夕凪は私の傍で元気一杯で幸せそうに笑ってくれて、私を癒してくれるだけで良い」
「帯刀さんは、本当に私には激甘ですよね?」
「当たり前でしょ?最愛の妻なのだから」

こう言う二人だけの時は必ず激甘になって、私をとことんダメにする旦那様。
このままだと私は絶対に帯刀さんなしじゃ何も出来ない馬鹿女になってしまう。
それでも帯刀さんは良いと言ってくれるとは思うけれど、それに甘えたら人間としても終わる気がする。

もっとしっかりしないとね?

「帯刀さんは私が馬鹿女になっても良いんですか?」
「さすがにそれは困るよ。少なくても子供から尊敬される母親になってもらわないと」
「子供から尊敬・・・がんばります」 

流石の帯刀さんも馬鹿女はいやだったらしく甘やかす割には、無理難題を押し付けられ現実に引き戻されるのだった。

尊敬される母親になるには、今以上に頑張らないといけないです。



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