夢幻なる絆

□15.遙かなる時空の中で
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「私こう言うのがとても気に入りました。またやりたいのですが、よろしいでしょうか?」

前回同様すっかりご満悦の宮ちゃんは私にとってはナイスアイデアを提案するのだけれど、南方先生と咲ちゃんには迷惑なのか困惑している。なので私はすぐには飛び付かず様子を見ることにした。
確かに将軍様と正室のお茶会など居心地なんか良いはずなく、穏便に済ませてさっさと帰りたい出来ればしたくないのが普通。実際二人は相づちしか売ってない。

「私も好き。だけどもしかしたら私は遠い家に帰らないと行けません」
「そうなのですか?せっかく仲良くなれそうだったのに残念です」

最初に口を開けたのはマリアちゃんでごもっともの答えを言って、周囲の空気をしんみりとさせる。
黒麒麟が見つかれば、物事は急激に進んであっと言う間に解決するんだと思う。
早く終わらせて平穏に暮らしたいとは思いつつも、もう少し今のままでもバチは当たらないんだろうか?

「夕凪、自分勝手なわがままを思ったら駄目だよ」
「え、なんのことですか?」
「さっさと事件は解決する。和宮様、妻ならこの地に留まっていますので、好きな時に呼びつけて下さい」
「あ、そうですね。私なら暇人なので遊びましょ?」

思った矢先、冷たい視線で見つめられ止められてしまう。
何を言っているのか分からなく首を傾げて問うと、的確に理解されていて宮ちゃんには愛想よくする。話を合わせてここで私の意見を言う。
友達だから敢えて遊ぶと言う台詞を選択。

「本当ですか?嬉しいです」
「宮、良かったね?」

宮ちゃんに明るい笑顔が戻り、将軍様も安心したようだった。

この二人この前よりも仲が良くなっていて、ひょっとしたらもうすぐご懐妊とか?
私の世界ではあり得なかったことが現実になったらいいな。

「はい。凪ちゃんそのうち私に旦那様を喜ばせる料理を教えて下さい」
「え、私?城内なら一流の料理人がいるんじゃ?」
「私は妻の料理をしたいんです。家茂様のお望みです」
「ええ。帯刀から妻の料理は愛情たっぷりで最上級に美味しいと聞きました」

いきなり話が大きくなりとんでもないお願いをされ一度は考え直させるけれど、何を勘違いしているのか将軍様まで誤ったことを本気にしている。

帯刀さん、あなたは何を自慢しているのでしょうか?
私の料理の腕ぐらい良く知ってますよね?

不安げに帯刀さんを見上げると、ニヤリと笑い満足そうだった。

絶対に計算づくだ。

「宮ちゃん、夫は最愛の妻の料理はどんなものでも美味しいってことなんです」
「そう言うものなのですか?ですが私料理などしたことないです。簡単なものでいいので教えて下さい」

言葉を慎重に選びながら種明かしをすれば、それはそれでいかにも皇室のお姫様らしい答えが返ってくる。
本来ならば咲ちゃんに頼むんだけど、これ以上迷惑かけるのも悪い。
だけどここまでお願いされたらもう断れない。

「炊き込みご飯と肉じゃがで良ければ・・・」
「宜しくお願いします」

困った挙げ句に思い浮かんだ料理は自分の中では上手く出来た二品。
それでも宮ちゃんは満足そうに頭を下げる。



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