夢幻なる絆

□15.遙かなる時空の中で
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足手まといの私が行っても迷惑でしかないことぐらい分かっていたけれど、胸騒ぎがして行かないといけないと思ったから来てしまった。
帯刀さんはまだ寝ているから知らない。
後で怒られるのは覚悟しての事。

そして私は戦い真っ最中の現場に訪れると、怒られるもののナイスタイミングだったらしい。
みんなの表情がかすかに安堵する。
私の胸騒ぎは、たまに役に立つ。

「凪、力を貸して欲しい」
「うん。分かった」

とマリアちゃんからお願いされ快く引き受ける中、倒れていたが立ち上がり攻撃を私達目掛けて襲ってくる。
突然すぎていきなりピンチになるけれど、崇くんが前に出て光の壁らしきもので攻撃を防ぐ。

「我々が動きを止めるので、その間に浄化をお願いします」
「本当は神があまりでしゃばることではないのだけれどね? 我らの神子に何かあってからでは遅いから」
「そんなことになったら私は世界を滅ぼすぞ」
「だな」
「おいおい。神の癖して物騒なこと言うなよな?」
「アハハハ」

私を思ってのことで感謝することだとは言え、どう考えてもいき過ぎた愛情には呆れるしかない。
ヒノエさんは肩を落とし、私は苦笑する。
こんな時に言うことではないと思う。



しかしやっぱり神様の力な偉大で相手も弱まっていたこともあり、すぐに動きは封じられる。

浄化するなら今だ。

『めぐれ天の声!』
「響け、地の声!」
『かのものを封ぜよ!』

マリアちゃんと手を繋ぎ浄化の呪文を唱え解き放つと、清らかな光が降り注ぎを包み込み浄化されていく。
が消えた途端、嫌な重たい気は消え元に戻る。
なんともあっさりとと思ったけれど、皆さん疲れきっていて怪我も結構している。
つまり私がいいとこどりをしただけ?

「すべてが終わったな。これでオレ達は元の時空に戻れるのか?」
「次の満月に神泉苑に白龍が迎えに来るだろう。それ以降二つの世界はしばらくは完全に分裂する」
「次の満月ね。崇の両親に挨拶出来るな。父上、よろしくお願いします」

ここでマリアちゃん達とのお別れする日が確定すれば、早速渓は一番大切な用事をヒノエさんに切り出す。

確かに崇くんが熊野に行くって事は、もう二度と家族に会えなくなるって事だもんね。

「分かってるって。ついでにお前の嫁さんの両親にもな」
「そんなことしたら殺す! そもそもまだ嫁になる予定もないから」

真っ赤に顔を染め反論する都が可愛らしい。
落ちるのも時間の問題だろう。

私もこれからは帯刀さんの妻そして子の親としてしっかりと頑張っていこう。
まずは帯刀さんに思いっきり甘えたいけれど、どれだけ怒っているんだろうか?
覚悟していたとは言え終わって冷静になってみると、やっぱり怒られるのは怖い。

「凪、どうした? せっかく終わったって言うのに浮かない顔して?」
「帯刀さんに怒られるのが怖いなって」
「そうだな。雷落ちるだけじゃすまされねぇだろうな?」
「雷が落ちる以上? 離縁?」
「さすがにそれはないだろう? 妊婦に離縁は鬼以上だからな? 」

笑えない冗談を龍馬に言われ最初にその二文字が思い浮かび顔が青ざめるけれど、さすがにそれは龍馬の言うとおりありえないと思う。
私に愛情がなくなったとしても、生まれてくる我が子には愛情はあるはず。

出産したら追い出される?

「凪、大丈夫。帯刀は優しいからちゃんと謝れば許してくれる」
「俺もそう思います。それに今回の場合は凪さんの力が必要だったので、俺の方からも事情を説明します」
「ありがとう」

どうしても後ろ向きに考えしか考えられなくて凹んでいる私に、渓は仕方がないと思ったのか神の手を差を伸べてくれる。


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