夢幻なる絆

□15.遙かなる時空の中で
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「凪と帯刀は幸せそうに仲良く寝てるね?起こさないと駄目?」
「瞬間移動を使いますので、大丈夫ですよ」

凪達がいる部屋に行くと二人は寝ていて起こすのが可愛そうなので問うと、朱雀は微笑みながら凄いことを答える。
神様だから使え・・・そう言えば鬼の一族も使えるってお兄ちゃんが言っていた。
瞬間移動が使えるおかげで二人を起こさずにすんだ。

だけど凪は帯刀と寝られて羨ましい。
私も崇とこんな風に仲良く寝てみたいな。

結婚したらいいらしいけれど、私と崇はすぐに結婚できるんだろうか?

「マリア、どうかしたか?」
「私と崇はすぐに結婚できるの?」
「出来ないね。崇を熊野の男にするまではな」
「うん、わかった」

私の素朴な問いに怒ってしまうお父さんだったけれど、ちゃんと答えてはくれ理解したからそれに従い頷く。
崇ならすぐになれると思う。

「熊野の男ねぇ?やっぱりチャラい軟弱ナンパ男なのか?」
「そんなはずないだろう?強い男だよ」
「だったらお前も鍛えてもらえ。・・・まぁ少しはやるみたいだが」
「なんだ?都は強い男が好みなのか?」
「当たり前だろう?」

都は不安なことを言い出すけれどお兄ちゃんに否定され、でもお兄ちゃんには不要なことを言う。
それでお父さんはニカッと笑い再確認。

もうお兄ちゃんは充分強いなのに、それでもなんで鍛えなきゃならないんだろうか?
どこまでお兄ちゃんは強くなる?

「そろそろ行きますよ」
「そうだな」
「ちょっと待った。もちろん俺も行くぜ?」
『龍馬?』
『地の青龍?』

そこに龍馬がやってきて都の時と同様、話を聞かれていたらしく同行すると言う。
龍馬がいるなんて思っていなかったから驚く私達。

「ここまで来たからには最後まで付き合わせてくれよ。・・・お嬢と凪の幸せな未来を創るため」
「龍馬さん。よろしくお願いします」

仲間思いの龍馬の真剣な頼みに、お兄ちゃんは頭を下げる。
本来ならば頼まれることではなく、私達が頭を下げ頼むべきこと。

これは私達が産んでしまった災いだから。

「龍馬だけじゃなく、お父さん、四神達、都もお願いします」

と私は無関係であろう三人に、そう言って頭を下げお願いする。

「では今度こそ行きますよ」
『はい』

朱雀が言った瞬間、目の前の景色は凪の部屋に変わる。


これが瞬間移動。
私があっちに行くのと同じようなもの?
突然現れた私達にネコと平田さんは驚き威嚇をするけれど、私達だと分かると安心したのか静かになり凪と帯刀に寄り添い丸くなる。

「梅さんに伝えてくる」
「そうだな」

このままあっちにはいけないと思いそう言い部屋を飛び出すと、コロが嬉しそうに私めがけて走って飛び込んできた。その後ろから梅さんも追いかけてくる。
コロなら私のことを気づいてくれたから、梅さんを連れてきてくれたんだ。

「ワンワン」
「コロ、ありがとう」
「マリアさん? 戻ってきたんですね?」
「うん。私はまたすぐ出掛けるけれど、帯刀は怪我をしてるから咲と誰かを呼んで来て欲しい」
「旦那様が? 命には別状ありませんよね?」
「うん、大丈夫。幸せそうに凪と寝てるよ」
「分かりました。すぐに呼んできます」

事情を説明すると一瞬驚き不安そうな表情を見せるが、大丈夫だと分かるとホッとして慌ただしく玄関の方に行く。
これでもう凪達は大丈夫。

「ワンワン」
「コロは、私達と一緒に来てくれる?」

残ったコロは元気よく私に訴えるからそう聞いてみると、嬉しそうに私の顔をペロペロ舐めだす。
だから私はコロも連れていくことにした。



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