夢幻なる絆

□15.遙かなる時空の中で
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「帯刀さん、この傷縫った方がいいですよ。跡が残ったら大変ですよ」

縫った方良さそうな深い傷を念入りに消毒をしながら、思わずそう助言してしまう。

帯刀さんは本当に我慢強い人だ。
こんな傷に消毒なんて悲鳴が出るほどしみるのに、帯刀さんは顔色一つ変えず私を気遣っている。
私がすぐ泣くから。

「夕凪は綺麗な身体が好きなの?」
「え、私は少し傷があった方が男らしい感じかして好きかな?」
「なら問題ないでしょ?」
「そう言う問題なんですか?」
「そう言う問題でしょ?妻が不快を与えなけられば、構わない。私自身そう言うことにはこだわらないから」
「帯刀さんって意外に男らしいですね?」

新たなる旦那さんの素顔を知り幸せを感じて鼻唄混じりで治療を続けると、それは帯刀さんの気に障ったらしく真顔になり私の両腕を強く掴み押し倒す。

なに?

「何を今さら?私は男だよ。夕凪は私に抱かれても満たされないの?」
「それは十分過ぎるほど満たされてますし、帯刀さんが男性ってことも良く分かってます。私が言いいのはなんて言うか男らしさよりも美意識が高い・・・髪はサラサラでいつも良い匂いもしますし口調も綺麗。筋肉だってそんなムキムキしてないからいろいろと気を付けてるのかなと」

言っていて自分でも何を言いたいのか分からなくなる。

私が思う男らしさって一体何だろう?
ムキムキマッチョで男臭くて乱暴口調・・・。
そんなの帯刀さんに求めてる?

「それは半分以上体質だよ?それなら今日は男らしい私を思う存分味合わせてあげる」
「・・・まだ治療中ですよ。・・・変なこと言って本当にすみませんでした。私は今の帯刀さんを愛しています」

完全に拗ねてしまった帯刀さんのご機嫌を直すため、自分に非があったことを伝え今解決した答えを断言して見る。

帯刀さんは今の帯刀さんのままで充分素敵だ。

「駄目。逃がさない」

しかしそう簡単には許してはもらえず、強引に続きをやろうとする。

あ、そう言えば前に帯刀さんは自分の本気はお愛があっても犯すって言ってたような?
じゃぁ何?
私今から愛する旦那様にここで犯される訳?


「帯刀、着替え持ってきた・・・って何してる?」
「ありがとう。何って栄養補充。馬鹿嫁が私が男らしくないと言うからね?」
「そこまでは言ってません。帯刀さんは男らしいです」

 後少しで服を脱がしれる所で運良く龍馬がやって来て、それ以上の行為は中断される。
真っ赤になって声を裏返らせる龍馬の問いに、帯刀さんは当然に答え私はそれを否定しながら逃れ乱れた所を整える。
男らしくないとは言ってないけれど、そう聞こえたのも当然かもしれない。

「まったく。怪我人の癖して、元気だな。お前もそれなりに重症なの理解してるのか?」
「龍馬まで大袈裟。このぐらいなら妻の治療で充分」
「そう言うが、まだ包帯すりゃ巻いてないじゃないか?俺も手伝ってやるから」
「すみません。ありがとう龍馬」

心配してくれて来てくれたのに馬鹿らしくなったのか、最早呆れきって愚痴をこぼす。
お前もそれなりに重症。
その言葉に胸に刃物が刺さって申し訳ない気持ちになり、また涙が出そうになるのを堪える。

やっぱり帯刀さんは重症なんだ。
それなのにちゃんと治療も出来ず流されてしまうなんて、あまりにも自分が不甲斐ない。
傷口からまた血が出ている。

「私も悪かった。今度こそ大人しく治療を受ける。でも本当に妻の顔を見たら痛みが和らぎ元気になれた」
「凪、元気出せ?帯刀も無事なんだから、そんなに落ち込まなくても良いだろう?」
「そうだよね」

優しい二人の励ましに私は涙を拭き取り笑顔を浮かべる。


そして龍馬に教わりながら、簡単には解けないようしっかり包帯を巻く。




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