夢幻なる絆

□15.遙かなる時空の中で
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「凪はもう元の世界には戻ることはないですよ。帯刀と確かな固い絆が結ばれましたから」

そんな私達を不憫に思ったの渡り廊下の方から、シュウちゃんが嬉しいことを言ってくれる。
反射的に渡り廊下に視線を向けると、障子の向こうに四つの影がある。
形からして四神。

「固い絆?」
「ふむ。調べた結果、凪と帯刀の血を受け継ぐ人の子が存在する限り凪はこちらの世界の住人となる」
「ただし元の世界には二度と帰れないだけでなく、凪が存在していたと言う証が消えていく。それでいいんだろう?」
「そんなの良いに決まってるじゃない。私は帯刀さんのためならすべてを捨てられるんだよ」

本当ならば大切な選択で慎重に考えないといけないけれど、きっとどんなに考えても私は帯刀さんの傍にいたい気持ちが大きい。
無責任だけど本当に私はなんだって捨てられる。

「これで心置きなく明日に挑めるよ。それであなた方四神はどうするのですか?」
「もちろん。今まで通り何も変わらない。凪と楽しく暮らすだけ」
「さよう。この一件が終わるとしても、凪は我らの神子であることはなくならない。傍にいるのは当然のこと」

悩みがなくなるホッとする帯刀さんだったけれど、何を思ったのか新たなる火種を四神に確認する。
するとクロちゃんとアオちゃんは当然とばかりにケロっと答える始末。
私としては嬉しいと思うものの、帯刀さんが心配で顔を覗きこむ。
ここで馬鹿のように喜んだら、怒られるのは目に見えている。

「我が家と薩摩を加護し、今まで通り家訓を守ってくれるなら認めます」
「ええ、それは守ります」
「小松帯刀は抜け目がないな。だが感謝はしてる」
「帯刀さん、ありがとうございます」

意外にも怒らずに冷静な判断を下してくれ、これで四神とも別れなくてすむことに喜ぶ。

だけど本来四神の役割は京を守護するじゃなかったっけぇ?
それともあれか。
日本すべてを守護するから、どこにいても特に問題なしとか?

「どういたしまして。じゃぁ夕凪、そろそろ寝ようか?」
「え、そそうですね?私はともかく帯刀さんにとっては忙しい日になりますからね」

問題がすべて解決すれば当然そうなり、私も話を合わせる。
四神は何も言わずに部屋から出ていく。

「夕凪、これからどうする?」
「え、どうするって?」
「以前のように願掛けでもする?」

誰もいなくなるなり私を構うように意味が分からないことを問われ、首をかしげ復唱すれば今度は分かるように問い直す。

願掛け。

そう言えば前に願掛けと言うか断ち物をしたよね?
前回と同じボス戦だからやるべきことなんだけれど、

「帯刀さんはどうしたいですか?」

断ち物なんかやりたくない気分だから問い返すものの、帯刀さんを押し倒し唇を何度も重なり合わせる。
このムードの中拒絶されたら、私はショックで自信をなくす。

「・・・夕凪はずるいよ」

頬を赤く染まらせそう言うと体勢を逆にさせ、私の誘いをのってくれる。

私のすべてをあげるから、帯刀さんのすべてが欲しい。



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